2010年8月アーカイブ

逆転移|対抗転移

|

対抗転移 逆転移 (counter-transference)

 

 

◇被分析者に対する分析者の無意識的反応の総体

 

◇特に被分析者の転移に対して、分析者自身の無意識的、不合理、幼児的な感情、

思考、態度が、被分析者に繰り返し向けられる現象。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

◇対抗転移は、1910年にフロイトにより初めて精神療法に導入された概念で、

転移と同様に重要な役割を果たしている。

 

フロイトは、「被分析者が分析者に対して向ける特殊な感情や態度のこと」を「転移」と呼び、

これとは逆方向に、「分析者の側が無意識のうちに被分析者に対して個人的な感情を向けたり、

私的な反応をすること」を「対抗転移」(逆転移)と呼んだ。

 

  

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 ◇被分析者の無意識の葛藤を正しく解釈するのに重要な分析者の中立性を

対抗転移が損なう恐れがあるとフロイトは考えた。

そこで、当初対抗転移を分析者の抵抗と考え、被分析者を治療するうえでの障害であるから、

できるだけ避けるべきであり、分析、あるいは少なくとも自己分析によって、

消滅されるべきだ、とされた。

 

 

◇これに対してユング(1875~1961)は、分析者も人間である以上、

いかに受け身的、中立的態度を保持しようとしても、ときには被分析者に深く影響されざるを得ない。

だから、この事実を受け入れ可能な限り、意識化するほうが良い、とした。

そこで、分析者が自己の無意識過程を熟知するために教育分析を受ける必要があることを力説した。

 

 

このように、対抗転移には、歴史的に治療の妨げになるので出来るだけ排除しようとする立場と、

対抗転移を自覚、理解し、柔軟適切に治療に活用しようとする立場と二つがある。

 

当初、対抗転移は、内容が分析者自身にかかわることであるだけに、

あいまいにされてきたきらいがあった。

しかし、1950年以降、治療が人間関係によることがますます理解され、

分析者の反応がより重要視されるようになったことにより、

治療を進めるうえで、対抗転移も積極的な意義があるものとして注目されるようになった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

◇ハインリッヒ・ラッカー(Heinrich Racker)

・ハインリッヒ・ラッカーは、「転移状況は必ず対抗転移状況を誘発する。

そしてそれは普遍的な、そして個人に固有な無意識の法則に従っている」と述べ、

対抗転移の特徴を次の3つにわけた。

 

a・・・転移と同様に分析作業にとって最大の危険物である。

b・・・患者を理解する最上の手段である。

c・・・解釈する人としての分析医を補助するものである。

 

 

◇アニイ・ライヒ(A.Reich)

・アニイ・ライヒは、「対抗転移は(ただ不可解な事象であるだけでなく、また)、

分析治療に必要な前提条件でもあるのだ。

もしもそれが存在しないならば、分析治療に必要な才能や興味が失われてしまう。

しかし、それは、影のように背景にとどまっていなければならない」と述べ、

対抗転移の重要性と特質とを説明している。

 

 

◇メニンガー(K.Menninger)

・メニンガーは、対抗転移の一般的な現れ方を次のように4つあげている。

 

1・・・嫌悪感、不快感、不安、抑うつ感、無力感、焦り、などの感情。

2・・・共感できない特定の話題にとらわれる、眠くなる、身構える、自分のことにとらわれる

    遅刻する、度忘れ。 

3・・・過度に好意を向ける、援助したがる、恋愛的、性愛的な感情が続く。

4・・・患者の夢を見る。

 

◇このように対抗転移を理解し、この存在に注意を払っていなければならないが、

ただ、対抗転移を恐れるあまり、治療が不毛になってはならない。

また、自分の対抗転移の分析に夢中になりすぎて、治療本来の対象を忘れてしまったり、

知的に分析するだけで事足れりという態度は治療の妨げになるので、

分析者はたびたび教育分析を受け、治療過程を見つめなおす必要がある。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

◇現在ではシンガー(E,Singer)の立場が一般に広く受け入れられている。

対抗転移は、「治療者が自分自身について何かを知ったり、学んだりすることへの、

治療者自身の抵抗の現れとして、また自分自身のある側面を忘却し、

未解決の葛藤を隠しておきたいという願望の反映として考えられる」と述べている。

 

 

◇精神分析療法は、病める人と健康な人との間の相互関係とみなされがちであるが、

本来は、2人の人格の相互関係である。

二つの全人格がそれぞれに、分析状況の一つ一つの出来事に影響しているのである。

したがって、治療関係において、分析者は、被分析者の転移や防衛を理解しようとすることだけでなく

自分自身の中におこっているいろいろな対抗転移を認識、コントロールすることが、

被分析者の理解につながる、という相互作用を重要視する必要がある。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

【カール・グスタフ・ユング】 Carl Gustav Jung (1875年7月26日~1961年6月6日)

 

スイスの精神科医・心理学者。

深層心理について研究し、分析心理学(通称・ユング心理学)の理論を創始した。

スイス、ボーデン湖畔のケスヴィルでプロテスタント牧師の家に生まれる。

少年期は己の内面に深い注意が向けられ、善と悪、神と人間についての思索に没頭し、

学生時代はゲーテ、カントやニーチェの著作に感銘を受けた。

内的な基盤を持たない形式的な信仰というものに疑問を感じ、

牧師という職を継ぐことを特には望まず、名門バーゼル大学で医学を学んだ。

 

生理学的な知識欲を満たしてくれる医学や、歴史学的な知識欲を満たしてくれる考古学に

興味を抱き、友人と活発に議論を交わし、

やがて人間の心理と科学の接点としての心理学に道を定めた。

精神疾患の人々の治療にあたるとともに疾患の研究もすすめ、

特に当時不治の病とされた分裂病(統合失調症)の解明と治療に一定の光明をもたらした。

ヒステリー患者の治療と無意識の解明に力を注いでいたフロイトと一時親しく意見を交わした。

1948年に共同研究者や後継者たちとともに、スイス・チューリッヒにユング研究所を設立し、

ユング派臨床心理学の基礎と伝統を確立した。

またアスコナで開催されたエラノス会議において、主導的役割を演じることで、

深層心理学・神話学・宗教学・哲学など、

多様な分野の専門家・思想家の学際的交流と研究の場を拓いた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

【ジークムント・フロイト】(ドイツ:Sigmund Freud 1856年5月6日~1939年9月23日)

 

オーストリアの精神分析学者。オーストリアの白人系ユダヤ教徒アシュケナジーの家庭に生まれた。

神経病理学者を経て精神科医となり、神経症研究、自由連想法、無意識研究、

精神分析の創始を行い、さらに精神力動論を展開した。

非常に詳細で精密な観察眼を示す症例報告を多数残した。

それらは、現在においても次々と新しい角度から研究されている。

フロイトの提唱した数々の理論は、のちに彼の弟子たちによって

後世の精神医学や臨床心理学などの基礎となったのみならず、

20世以降の文学・芸術・人間理解に広く甚大な影響を与えた。

弟子たちは、フロイトの考え方のどこかしらを批判した上でこれを受け継ぎ、

様々な学派に分岐し、それぞれ独自の理論を展開していった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

※【参考文献】

「転移と逆転移」2000 H,ラッカー/著 岩崎学術出版社
「カウンセリング大事典」2004 小林司/編 新曜社
「図説 現代心理学入門」三訂版2007 金城辰夫/監修 培風館 
「ユングの分析技法」転移と逆転移をめぐって マイケルフォーダム/編 培風館
「転移・逆転移―臨床の現場から」 氏原寛/編 人文書院
「分析空間での出会い―逆転移から転移へ」1998 松木邦裕/著 人文書院

 

退行|防衛機制

|

退行 (regression)

 

防衛機制 (defense mechanisms)

 

 

 

◇退行とは、ある時点において、それまでに発達した状態や機能あるいは体制が、

それ以前のもっと低次の状態や機能ないし体制にまで逆戻りすること。

 

 

◇葛藤や欲求不満、不安、ストレスなどの感情的に嫌なことを減らしたり避けたりするために

心の中で無意識に働く、こころの安全装置を防衛機制という。

 

 

◇防衛機制は無意識のうちに実行されるから、本人がわざとそうしている訳ではないし、

この安全装置が現実を歪めてしまうのだが、当人はそのゆがみに気づかない。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

◇「退行」は、心理学ないし、精神病理学的現象を説明する理論概念として用いられる。

この概念を最初に精神病理学に導入したのは、ジャクソンである。

退行は、主としてフラストレーション反応として、病理と関連づけて研究されてきた。

退行というのは「幼児返り」とも言われその人の人生の早期の心理状態に立ち戻って行くことを指す

精神分析においては、幼児期の記憶や葛藤または感情が抑圧されて、

無意識の中に閉じ込められていて、それがその後のさまざまな症状をつくったり、

その人の性格や行動を支配するようになると考えられている。

 

たとえば、日常生活を元気に送っていた児童が、下の赤ちゃんの誕生直後に夜泣き等の

不安症状を示し、保育所でもおもらしをしたり、保育士の世話を多く必要とするようになり、

母親の姿を追い求めるようになった、という例がある。

さらに、小学校入学直前、高熱のため緊急入院した夜半、母親を呼んだが、

赤ちゃんとともに別室にいたため、来てもらえなかったというショックから、

それ以後、ひん尿と強い分離不安を示し、片時も母親から離れられなくなった児童もいる。

しかし、母親の付き添いなしには日常生活を送れなくなった児童も、

母親が積極的に愛情を示し、こまかく面倒を見てくれるにつれ、

安心感を覚え、少しづつ落ち着きを見せるようになってくる。

また、一人で食事の出来た子が、再び介助を必要とするようになったという例もある。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 ◇フロイトは、ジャクソンの解体という考え方を退行の概念にまで発展させた。

やがて、精神分析によって観察された心理学的、精神病理学的現象を説明する

深層心理学的理論の中で、退行が中心概念になった。

そして、精神分析理論では、個人発達的に、より以前の段階に戻るという意味での退行を重視した。

精神発達がつまづくと、固着した発達段階に退行するものと考えられる。

これは、発達段階においての固着が強いと、何らかのフラストレーションによって、

その固着した段階へと退行しやすいことを意味している。

たとえば、病者の排便へのこだわりが、肛門期への退行とみなされ、

子どもにみられる指しゃぶりは口唇期への退行とみなされる。

また、心理療法においては、治療的退行、病的退行、健康な退行として、

治療の役に立っている。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「治療的退行」とは、治療のために操作的に、一時的に退行状態へ導いたもので、自由連想法、

催眠、自律訓練法、箱庭療法などで用いられる。

 

「病的退行」は、患者の病理現象としてみられ、固着点への退行、外傷的段階への退行、

防衛的退行、葛藤的退行として現れる。

これらは、各種の神経症や、ある種の心身症、境界例などに顕著である。

 

「健康的退行」は、自我の一時的、部分的退行であって「創造的退行」とも言われる。

この適応的退行は、日常生活で自我が常に緊張し続けているのをゆるめ、

リフレッシュすることを助ける。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

◇フロイト以後の精神分析は、退行論をさらに発展させ、一方で操作的退行を、

他方で健康的な退行を解明し、むしろ、退行を正常にも病的にも働くものとみなして、

自我の基本的機能の一つと考えるようになった。

 

◇レヴィンらは、フラストレーションによって、未分化で単純、

しかも原始的な行動が現れることに着眼し構造的退行を重視した。(1941)

例えば、幼児の遊びにフラストレーション状況を与えると、遊びの構成度が低下して、

より原始的な遊びが現れたり、不安定行動が増したりすることが見出されている。

 

発達を個人の内部領域の分化とみるレヴィンは、退行を、目標阻止による個人の未分化化、

原始化と定義して、個人の生活史における過去の行動型への「後戻り」と区別した。

 

◇一般に発達史的退行と構造的退行は、異なった観点として記述されていることが多いが、

最近の臨床心理学では、双方が不可解に関わっている事例が多く観察されており、

発達史的にも構造的にも退行する現象の理解が進んでいる。

また、心理療法における治療的退行も、発達史的に固着点が解決されるためだと解される一方、

構造的な退行が不適切な構造をゆるめて基礎に立ち返らせ、

最構造化を可能にするためだ、と解されている。

 

いずれにせよ、心理療法における転移現象としての退行は、

病者の幼児的依存が再体験されることであり、こののちに内的熟成に至るのである。

それゆえに、治療関係の中で退行を有効に取り扱う必要がある。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

【主な防衛機制】(defense mechanisms)

 

 

【退行】

・欲求不満に陥ったとき、人生の一段若い段階へと逆戻りする現象である。

その方が安全で快適なのだ。

弟が生まれたときに、4歳の子どもが乳児返りをして急に赤ちゃん言葉をしゃべったり、

おねしょをして自分も弟なみに母にかわいがってもらおうとする。

失恋した人が昔の恋人に電話するのもその一つだ。

衝動退行は、衝動を別の衝動にすり替える。

怒りの衝動をヤケ食いの食衝動にすり替えるのがその例である。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

【クルト・レヴィン】(Kurt Lewin 1890年9月9日~1947年2月12日)

 

ユダヤ系心理学者。ドイツ/ポーランド生まれ。( アメリカで活躍した心理学者)

フロイトと並ぶ力動論の代表者。

ゲシュタルト心理学の影響を強く受け、情緒や動機付けの研究を行った。

実践的な理論家として、「よい理論ほど役にたつものはない」という有名な言葉を残した。

葛藤(conflict)の3つの基本型を示し、

行動の根底にある要求や動機を重視、行動にいたる過程を研究した。(力動論)

過程や原因を過去の性的な要因に結びつけがちだったフロイトに対し、

彼は、現在の生活空間全体から行動を分析しようとした。

ゲシュタルト心理学を社会心理学に応用し、トポロジー心理学を提唱した。

ベルリン大学の哲学と心理学の教授を務めていたが、

ナチスの台頭に伴い1933年にアメリカに渡り、1940年にアメリカの市民権を取得。

コーネル大学教授をつとめ、マサチューセッツ工科大学(MIT)に、

グループダイナミクス研究所を創設した。

「社会心理学の父」と呼ばれ、リーダーシップスタイル(専制型、民主型、放任型)と

その影響の研究、集団での意思決定の研究、

場の理論や変革マネジメントの「解凍―変化―再凍結」モデルの考案、

「アクションリサーチ」という研究方式、

グループダイナミクスによる訓練方法(特にTグループ)など、その業績は多方面にわたる。

1947年、マサチューセッツ州 ニュ-トンビルで死去。 

 

 

◇場の理論

 

人の行動は、パーソナリティや欲求、あるいは環境刺激のいずれか一つだけが原因なのではなく

人と環境の相互作用によって生まれるものだ、としたのが、レヴィンの考え方。

すべての心理的事実(感情の動き)は、生活空間の均衡が崩れることによって起こり、

人は、均衡を取り戻すために行動を起こす。

 

 

【主要著書】

 

■ 「社会的葛藤の解決」 創元社

■ 「社会科学における場の理論 増補版」 誠信書房

■ 「社会的葛藤の解決」グループ・ダイナミックス論文集 (1966年) (現代社会科学叢書)  創元新社

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

【アンナ・フロイト】(Anna Freud 1895年12月3日~1982年10月9日)

 

精神分析の創始者・ジークムント・フロイトの娘で、イギリスの精神分析家。児童精神分析の開拓者。

ウィーン生まれ。ウィーンのコッタージ・リセウム(Cottage Lyceum)に学ぶ。

1914年にイギリスに渡り、戻って自分が学んだリセで教鞭をとる。

1918年、父から精神分析を学び、その道に入る。

最初の論文は、1922年発表。1923年から精神分析家としての実践を開始。

同年、父ジークムントが癌である事が判明、以来雑務に支障を来たすようになった父親に代わり、

国際精神分析学会の事務局長、ウィーン精神分析訓練研究所の所長などを引き受ける。

1939年、父親が死去してからは、ますます児童心理学に専念。

メラニー・クラインとの研究上の意見の相違からイギリスの精神分析学会で論争を引き起こす。

その間にも弟子(たとえば、エリク・エリクソンなど)を多数育て、

戦争が子ども達に与えた影響なども調査。

特に、幼児の防衛機制についての研究が名高い。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

【ジークムント・フロイト】(ドイツ:Sigmund Freud 1856年5月6日~1939年9月23日)

 

オーストリアの精神分析学者。オーストリアの白人系ユダヤ教徒アシュケナジーの家庭に生まれた。

神経病理学者を経て精神科医となり、神経症研究、自由連想法、無意識研究、

精神分析の創始を行い、さらに精神力動論を展開した。

非常に詳細で精密な観察眼を示す症例報告を多数残した。

それらは、現在においても次々と新しい角度から研究されている。

フロイトの提唱した数々の理論は、のちに彼の弟子たちによって

後世の精神医学や臨床心理学などの基礎となったのみならず、

20世以降の文学・芸術・人間理解に広く甚大な影響を与えた。

弟子たちは、フロイトの考え方のどこかしらを批判した上でこれを受け継ぎ、

様々な学派に分岐し、それぞれ独自の理論を展開していった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

※【参考文献】

「カウンセリング大事典」2004 小林司/編 新曜社
「図説 現代心理学入門」三訂版2007 金城辰夫/監修 培風館 
「自我と防衛」1985 A・フロイト/著 誠信書房
「自我と防衛機制」1998 アンナ・フロイト著作集 A・フロイト/著 岩崎学術出版社
「自我論 不安本能論」1970 S・フロイト著作集 S・フロイト/著 人文書院
「フロイト全集 第19巻」2010 S・フロイト/著 岩波書店
*1925-28年 否定、制止、症状、不安、素人分析の問題

「S・フロイト自我論集」1996 ジークムント・フロイト/著 筑摩書房

働く人の電話相談室 ボランティア2010

 


◆9月10日「世界自殺予防デー」(WHO:世界保健機関)にあわせて

「働く人の電話相談室」が開設されます。

 

【開設期間】   9/10(金) 9/11(土) 9/12(日)
 
【ダイヤル相談】 0120-583-358 (※期間中のみの臨時電話回線です)

【開設時間】   10時~22時

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

つらいこと、苦しいこと ひとりで抱え込まないで・・・

うまくいかないこと、こじれてしまったこと、

ぜんぶ自分のせいだと自分を責めないで・・・

そのつらい気持ち、話してみてください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

【主催】 社団法人 日本産業カウンセラー協会

【協力】 日本労働組合総連合会(連合)

【後援】 内閣府/厚生労働省/中央労働災害防止協会
【後援】 独立行政法人 労働者健康福祉機構
【後援】 社団法人 全国労働基準関係団体連合会  
【後援】 日本産業カウンセリング学会/日本産業精神保健学会
【後援】 財団法人 産業医学振興財団
   

●●2007年度のスタートから4年目。皆様どうぞご活用下さい。


(*期間中は多勢の産業カウンセラーが交代で電話相談をお受けします)

 

 

 


● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ●

 

 

 

 

【ボランティア履歴一覧】・仙台カウンセリング 仙台心理カウンセリング

 

2009年

■2009年9月10日~12日・・・『働く人の電話相談室』
 ・9月10日"世界自殺予防デー"(WHO)
 ・日本産業カウンセラー協会主催(内閣府・厚生労働省後援)

● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ●

2008年

■2008年9月10日~12日・・・『働く人の電話相談室』
 ・9月10日"世界自殺予防デー"(WHO)
 ・日本産業カウンセラー協会主催(内閣府後援)

● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ●

2007年

■2007年9月10日~16日・・・『働く人の電話相談室』
 ・9月10日"世界自殺予防デー"(WHO)
 ・日本産業カウンセラー協会主催(内閣府後援)

● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ●




【主催】 社団法人 日本産業カウンセラー協会
【協力】 日本労働組合総連合会(連合)

【後援】 内閣府/厚生労働省/中央労働災害防止協会
【後援】 独立行政法人 労働者健康福祉機構
【後援】 社団法人 全国労働基準関係団体連合会  
【後援】 日本産業カウンセリング学会/日本産業精神保健学会
【後援】 財団法人 産業医学振興財団
     


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



つらいこと、苦しいこと ひとりで抱え込まないで・・・

うまくいかないこと、こじれてしまったこと、

ぜんぶ自分のせいだと自分を責めないで・・・

そのつらい気持ち、話してみてください。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ●

 

 

仙台心理カウンセリングでは 「基本指針」で掲げる「社会貢献」のひとつとして、

毎年、9月10日"世界自殺予防デー"(WHO)に開催される 「働く人の電話相談室」 において、

微力ながら、電話相談ボランティアへのご協力をさせて頂いております。

 

 


●仙台心理カウンセリング  【基本指針】

「共に学び共に成長する」 ... 共に成長する感動を分かちあう

「中立 誠意」 ・・・ 中立で誠意ある対応に努める

「社会貢献」 ・・・ 地域と社会に積極的に貢献する

 

 

 

 

~・・・  いつでもあなたのそばに ・・・~

 仙台心理のカウンセリング&心理学講座
 営業時間 *10:00~21:00
 定休日  *不定休(土日祝オープン)

〒981-1105 宮城県仙台市太白区西中田6-1-7
○●○・ 仙台心理カウンセリング&スクール ・○●○

 

 

 

☆.。.:*・゚☆.。.:* .。.:*・゚☆.。.:*・゚☆.。.:*・゚☆.。.:* .。.:*・゚☆.。.:*・゚☆

マイクロ技法

|

マイクロカウンセリング  (micro counseling)

マイクロ・カウンセリング技法 (microskills)

 

 

 

◇さまざまなカウンセリング理論から技法を抽出し、それらの意味と目的を整理、統合した、

カウンセリング技法。

 

◇カウンセリング・プロセスを12段階に細かく分割し、それぞれの段階ごとに

既存のさまざまなカウンセリング・アプローチから抽出し、

再配分したカウンセリング技法のまとまりを指す。

 

 

 

 

※「マイクロ」という言葉は、「微少」というだけでなく、一つ一つ小単位ごと(一技法ごと)着実に、

綿密に、順次認識して学習していくという意味をこめて命名しています。

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

【マイクロ技法・階層表】・12の段階

 

 

(1) 基本的関わり技法

・視線の合わせ方、言語的追跡および身体言語や声の調子への気配りなど傾聴の態度をとること。

 

(2)クライエント観察技法

・クライエントの非言語的なコミュニケーションに注意を払うこと。

 

(3)「開かれた質問、閉ざされた質問」

・質問技法にまとめられる。

「閉じられた質問」は、イエス、ノーで答えられる質問。

「開かれた質問」はクライエントが内容を具体的に答えられるようにする質問。

 

(4)はげまし、いいかえ、要約

・応答や明確化のこと。

「はげまし」は、「あいづち」や「うなずき」のことで、

カウンセラーがクライエントの話を聴いていることを伝える技法。

「いいかえ」は、クライエントのことばをカウンセラーのこころの中で再体験し、

カウンセラーのことばで返すこと。

「要約」は、クライエントのことばを整理し、明確にして伝え返すこと。

 

(5)感情の反映

・クライエントノ感情に対して応答することであり、カウンセラーが理解したクライエントの感情を、

伝え返すこと。

 

(6)意味の反映

・行動、感情、思考をつなぐクライエント独自の意味を、

クライエント自身が探り、発見することを援助すること。

 

(7)焦点の当て方

・クライエントの多岐にわたる訴えの中から、

クライエント自身が何に対して焦点をあてていくのかを援助するもの。

 

(8)積極技法

・積極技法は、指示、論理的帰結、自己開示、フィードバック、解釈、積極的要約、情報提供、助言

教示、意見、示唆など、より積極的、直接的にクライエントに影響を与えようとする技法。

 

(9)対決

・クライエントの矛盾、混乱、葛藤に非審判的な態度で対決していく技法。

 

(10)技法の連鎖および面接の構造化

・マイクロ技法を用いてカウンセリング・プロセスを組み立てていくこと。

 

(11)技法の統合

・マイクロ技法を用いて、効果的なカウンセリングを行うこと。

その時、カウンセラーは「技法の統合」に達したといえる。

 

(12)その他

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

◇さて、この指標をアイビイは、「マイクロ技法(microskills)」と呼び、

「面接の時のコミュニケーションの技法の単位」と定義している。

 

マイクロ技法階層表によれば、「マイクロ技法」は、

 

「基本的なかかわり技法(かかわり行動)・(開かれた質問、閉ざされた質問)・

(クライエント 観察技法)・(はげまし)・(いいかえ)・(要約)・(感情の反映)・(意味の反映)」

*5段階の面接構造

*対決と発達状態の査定 

 

→ 「焦点の当て方」→「積極技法(指示)・(論理的帰結)・(解釈)・(自己開示)・(助言)・

(情報提供)・(説明)・(教示)・(フィードバック)・(カウンセラーの発言要約)」

 

→ 「対決(矛盾)・(不一致)」

 

→ 「技法の連鎖および面接の構造化」

 

→ 「技法の統合」

*独自のスタイルと理論

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 ◇

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

【アレン・アイビイ】( 1933年~ )

 

1933年、米国ワシントン州に生まれる。

スタンフォード大学で心理学を専攻し優等で卒業後ハーバード大学で

教育学博士の学位を取得(カウセリング・ガイダンス専攻)。

コロラド州立大学カウンセリングセンター長兼準教授を経て

1988年現在マサチューセッツ大学カウセリング心理学教授。

 

長年の研究成果をもとに、マイクロカウンセリングの理論と実際を築き提唱し、

国内外において、その普及につとめる。

その体験からも文化的視点からも、ものごとを眺める姿勢を持ち続けている。

Microtraining Associates を設立し現会長。出版物は著書25冊、論文約130編。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

※【参考文献】

「カウンセリング大事典」2004 小林司/編 新曜社
「マイクロカウンセリングの理論と実際」2004 アレン・アイビイ/著 風間書房 
「マイクロカウンセリング技法」2007 アレン・E・アイビイ/著 風間書房 

 

 

 

マイクロカウンセリング  (micro counseling)

マイクロ・カウンセリングとは

 

 

 

◇アレン・アイビイ等によって開発されたカウンセラー養成のためのトレーニング・プログラム。

 

アレン・アイビイ等は、カウンセリングの数々の手法をいくつかに分類し、階層化。

初心者が段階を踏んで高度な技法を身につけられるようにするトレーニングシステムである、

マイクロカウンセリングを開発した。

 

マイクロ・カウンセリングは「マイクロ・カウンセリング/トレーニング」と称しているように、

カウンセリングの一理論を提供するのではなく、カウンセリングの諸理論のスキル(技法)を、

アイビイがいくつかに分けた指標(マイクロ技法と言う)に基づいて詳細に分析したものである。

諸理論の各技法はその指標によっていくつかの階層の中に位置づけられ、

各指標の活用程度に応じて諸理論の特質を分類することが可能になる。

 

その結果、カウンセリング諸理論を同一の土俵のもとで、より客観的に考察することが可能となる。

つまりマイクロ・カウンセリングはカウンセリング面接をより実効あるものにするための

理論体系であり、トレーニングの体系であるということが言うことができる。

 

こうした体系の基礎にあるアイビイの考えは「意図的面接(インタビュー)」への志向である。

アイビイは「マイクロカウンセリング」(1985)の中で意図的面接について次のように述べている。

 

「意図的面接では、ひとつの応答だけが正しいのではなく、

いかに数多くの応答が援助の可能性を持っているかということに注目する。

意図性こそが、効果的な面接を行う際の中心的なゴール」なのである。

「意図性」とは、いつどんな場面でどのような応答がより効果的であるのかについての

自覚的なカウンセリングを目標とするということである。

 

また、この体系に沿って学習することが有能なカウンセラーの養成にとって不可欠であると主張する。

 

 

 

 

※「マイクロ」という言葉は、「微少」というだけでなく、一つ一つ小単位ごと(一技法ごと)着実に、

綿密に、順次認識して学習していくという意味をこめて命名しています。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

◇さて、この指標をアイビイは、「マイクロ技法(microskills)」と呼び、

「面接の時のコミュニケーションの技法の単位」と定義している。

 

マイクロ技法階層表によれば、「マイクロ技法」は、

 

「基本的なかかわり技法(かかわり行動)・(開かれた質問、閉ざされた質問)・

(クライエント 観察技法)・(はげまし)・(いいかえ)・(要約)・(感情の反映)・(意味の反映)」

*5段階の面接構造

*対決と発達状態の査定 

 

→ 「焦点の当て方」→「積極技法(指示)・(論理的帰結)・(解釈)・(自己開示)・(助言)・

(情報提供)・(説明)・(教示)・(フィードバック)・(カウンセラーの発言要約)」

 

→ 「対決(矛盾)・(不一致)」

 

→ 「技法の連鎖および面接の構造化」

 

→ 「技法の統合」

*独自のスタイルと理論

 

 

 

以上の順で階層の高位に位置し、最上位の「技法の統合」の段階では、

面接に対するカウンセラー自身の概念と目標を作りだすことが可能になるという。

また、マイクロ技法は、クライエントとカウンセラー間のコミュニケーションの基本的な要素の分類にも

有用であるとされている。

 

例えば、「感情の反映」技法はロジャース派のカウンセリングでは、

最も重要視されるものであるのに対し、行動療法では、ほとんど用いられない。

精神分析や特性因子理論ではある程度用いられる。

また、「解釈」技法はは、ロジャース派ではほとんど用いられないが、

「精神分析」や「ゲシュタルト療法」では多用されている。

 

このようにカウンセリング・心理療法各派の技法はさまざまであるが、それらをマイクロ技法によって

分類することで、各理論の特質を明確にし、意図的な面接を実現することができるという。

また、カウンセラーのトレーニングにおいても上記の目標を明確にし、

被訓練者にカウンセリング・心理療法についての客観的な知見と目標を与えうると主張する。 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 ◇マイクロ・カウンセリングは専門的なカウンセラー養成のためのプログラムであるとともに

さまざまな場所、状況における人間関係の改善や、

コミュニケーションの促進にとってもまた有用であるとアイビイは主張する。

たとえば、ビジネスやマネージメント、警察官の被害者に対する事情聴取において、

またソーシャルワーカーや看護師、医師が明確な診断を行なう時にも活用される。

 

さらに、異文化に共通して用いられる技法は何かといった、

文化人類学的な視点の構築にも寄与するところがある。

たとえば、「かかわり技法」「積極技法」は、どんな文化においても用いられているし、

マイクロ技法は、コミュニケーションにおける文化の差異を分析したり、

理解したりするのに有力な手段となるのである。

 

もし、マイクロ技法を意識し、意図的に用いるようになれば伝統的な文化を越えて、

お互いの意志伝達を促進することが可能になるという。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

【アレン・アイビイ】( 1933年~ )

 

1933年、米国ワシントン州に生まれる。

スタンフォード大学で心理学を専攻し優等で卒業後ハーバード大学で

教育学博士の学位を取得(カウセリング・ガイダンス専攻)。

コロラド州立大学カウンセリングセンター長兼準教授を経て

1988年現在マサチューセッツ大学カウセリング心理学教授。

 

長年の研究成果をもとに、マイクロカウンセリングの理論と実際を築き提唱し、

国内外において、その普及につとめる。

その体験からも文化的視点からも、ものごとを眺める姿勢を持ち続けている。

Microtraining Associates を設立し現会長。出版物は著書25冊、論文約130編。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

※【参考文献】

「カウンセリング大事典」2004 小林司/編 新曜社
「マイクロカウンセリングの理論と実際」2004 アレン・アイビイ/著 風間書房 
「マイクロカウンセリング技法」2007 アレン・E・アイビイ/著 風間書房 

 

 

 

防衛機制の具体例

|

防衛機制 (defense mechanisms)

防衛機制の具体例 (examples of defense mechanisms)

 

 

 

◇葛藤や欲求不満、不安、ストレスなどの感情的に嫌なことを減らしたり避けたりするために

心の中で無意識に働く、こころの安全装置を防衛機制という。

 

 

◇防衛機制は無意識のうちに実行されるから、本人がわざとそうしている訳ではないし、

この安全装置が現実を歪めてしまうのだが、当人はそのゆがみに気づかない。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

◇主な防衛機制には、抑圧、抑制、否定、投影、転嫁、置き換え、退行、代償、反動形成、同一化

など、各種の仕掛けが認められる。

防衛機制の大部分は精神分析の理論としてフロイトによって発見された。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

【主な防衛機制】(defense mechanisms)

 

 

【1】抑圧

・葛藤やストレスに関係していることだけを忘れるように働く。

忘れてしまえば嫌なことはなかったも同然になるからである。つまり「忘れたいから忘れる」のだ。

幼児期の性体験や大失敗を覚えていないのが抑圧の例である。

しかし、この忘れられた事柄は、決して消え去ったのではなくて、無意識という冷蔵庫の中に

冷凍保存されているにすぎないから、何かのきっかけに解凍されて意識の中で暴れ出すことも多い。

 

【2】抑制

・他の事を考えるようにして、嫌なことから目をそらすことを指す。

抑圧とは違って、嫌なことを一旦は意識するが、他に目を移すことによってそれを無視するのである。

はじめは多少とも意識的に行われるが、繰り返しによって習慣づけられて、

無意識に行われるようになる。

 

【3】否定

・ガンだと診断されたときに「自分がガンであるはずがない。誤診だろう」と思って、

他の医師を訪れる場合などの心理。

 

【4】投影

・自分の性格や動機を他のもののように感じることである。

ケチなひとが「あいつはケチだ」と他人をけなしやすいのがその例である。

もしも他人がケチでないとケチな自分はその他人を尊敬しなければならず、

それがストレスになるのでそれを避けるために「他人もケチだ」と思い込むのである。

自分が意地悪だと他人も自分に対して意地悪をするように感じる。

統合失調症の患者が「皆が自分の悪口を言う、意地悪をされる」というのは、

投影によって自分の嫌な性格(意地悪)をカバーしようとしているからである。

 

【5】転嫁

・自分の失敗を他人のせいにしようとすることである。

材木をうまく削ることができないと「カンナが悪い」と言うのがその例だ。

 

【6】置き換え

・対象を置き換える場合と、衝動を置き換える場合とがある。

ある人やものに対する感情を他の人やものに表現するのは、「対象置き換え」の例である。

会社の上司に腹を立てると、帰宅後、妻に八つ当たりするなどがその例だ。

愛妻を失った夫が、娘を溺愛するなども、しばしばみられる。

上司に怒りをぶつけるとクビになるかもしれないし、亡くなった妻を愛することはできないからである。

怒りや愛を表現しないでおくことが辛いので、どこかでそれを吐き出すのだ。

危険を避け、衝動を減らすことになる。

「衝動の置き換え」の場合には、対象を変えずに感情だけをすり替える。

性衝動を攻撃性にすり替えたり、その逆も起きやすい。

男児が好きな女児をいじめたりするのはその例である。

 

【7】退行

・欲求不満に陥ったとき、人生の一段若い段階へと逆戻りする現象である。

その方が安全で快適なのだ。

弟が生まれたときに、4歳の子どもが乳児返りをして急に赤ちゃん言葉をしゃべったり、

おねしょをして自分も弟なみに母にかわいがってもらおうとする。

失恋した人が昔の恋人に電話するのもその一つだ。

衝動退行は、衝動を別の衝動にすり替える。

怒りの衝動をヤケ食いの食衝動にすり替えるのがその例である。

 

【8】代償

・劣等感をもつと不安になるので、他の面で優れようとすることだ。

学業成績が悪い児童がスポーツに励むなど。

 

【9】反動形成

・本心では子どもを愛していないときに、溺愛の態度をとってしまうなどの場合である。

継母が義理の子どもに何でも買い与えるなど。

 

【10】同一化

・他人の性格を取り込むことである。

自信のない人が自分の上役がいばっているのを真似て、部下をいじめたりする。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

【アンナ・フロイト】(Anna Freud, 1895年12月3日~1982年10月9日)

 

精神分析の創始者・ジークムント・フロイトの娘で、イギリスの精神分析家。児童精神分析の開拓者。

ウィーン生まれ。ウィーンのコッタージ・リセウム(Cottage Lyceum)に学ぶ。

1914年にイギリスに渡り、戻って自分が学んだリセで教鞭をとる。

1918年、父から精神分析を学び、その道に入る。

最初の論文は、1922年発表。1923年から精神分析家としての実践を開始。

同年、父ジークムントが癌である事が判明、以来雑務に支障を来たすようになった父親に代わり、

国際精神分析学会の事務局長、ウィーン精神分析訓練研究所の所長などを引き受ける。

1939年、父親が死去してからは、ますます児童心理学に専念。

メラニー・クラインとの研究上の意見の相違からイギリスの精神分析学会で論争を引き起こす。

その間にも弟子(たとえば、エリク・エリクソンなど)を多数育て、

戦争が子ども達に与えた影響なども調査。

特に、幼児の防衛機制についての研究が名高い。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

【ジークムント・フロイト】(ドイツ:Sigmund Freud 1856年5月6日~1939年9月23日)

 

オーストリアの精神分析学者。オーストリアの白人系ユダヤ教徒アシュケナジーの家庭に生まれた。

神経病理学者を経て精神科医となり、神経症研究、自由連想法、無意識研究、

精神分析の創始を行い、さらに精神力動論を展開した。

非常に詳細で精密な観察眼を示す症例報告を多数残した。

それらは、現在においても次々と新しい角度から研究されている。

フロイトの提唱した数々の理論は、のちに彼の弟子たちによって

後世の精神医学や臨床心理学などの基礎となったのみならず、

20世以降の文学・芸術・人間理解に広く甚大な影響を与えた。

弟子たちは、フロイトの考え方のどこかしらを批判した上でこれを受け継ぎ、

様々な学派に分岐し、それぞれ独自の理論を展開していった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

※【参考文献】

「カウンセリング大事典」2004 小林司/編 新曜社
「図説 現代心理学入門」三訂版2007 金城辰夫/監修 培風館 
「自我と防衛」1985 A・フロイト/著 誠信書房
「自我と防衛機制」1998 アンナ・フロイト著作集 A・フロイト/著 岩崎学術出版社
「自我論 不安本能論」1970 S・フロイト著作集 S・フロイト/著 人文書院
「フロイト全集 第19巻」2010 S・フロイト/著 岩波書店
*1925-28年 否定、制止、症状、不安、素人分析の問題

「S・フロイト自我論集」1996 ジークムント・フロイト/著 筑摩書房

防衛機制の例

|

防衛機制 (defense mechanisms)

防衛機制の例 (examples of defense mechanisms)

 

 

 

 

【1】心の緊張や不安を回避し、自分自身の気持ちを安定させようとする無意識の働き。

【2】超自我、エス、現実からの要求による圧力に対して、

  自我を守るために無意識に行われる適応方法。

 

 

◇防衛機制の概念を提唱したのは、S.フロイトである。

彼は精神分析理論の中で、自我の機能の一つは外部からの危機を避ける事であり、

自我が現実からの要求、超自我、エスという三者の圧力の中で無意識にとる適応方法として

防衛機制を説いた。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

◇私たちは、生活を営む上で環境に適応し、様々な欲求を叶え、

不安や不満、恐怖を取り除くことで満足が得られる。

しかし、いつも現実的な解決をできるとは限らない。

無意識のうちにも心の中で環境に適応しようとして、葛藤や要求を処理し、

不安から解放され心の安定を得るために働く機制を防衛機制という。

 

防衛機制は心の緊張を解放しようとするものであるが、無意識に働くので合理的解決が得られず、

その解決が現実的な解決ではないから、欲求が解消しない限り、

再び同じ現実の場面に戻されてしまうという問題点がある。

 

さらには、現実からの逃避という形もあるために、不適応行動として現れる場合もある。

そのため、ヒステリーや強迫神経症、うつ病との関連が指摘されている。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

【主な防衛機制】(defense mechanisms)

 

◇主な防衛機制には、抑圧、投影、摂取、同一化、転換、置き換え、反動形成、打ち消し、合理化、

昇華、逃避、退行などがある。

 

昇華という防衛機制では、時として詩、小説、絵画や彫刻など、

文学や芸術の面で優れた作品を生み出すことがある。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

●例:家庭をもっているY君を愛してしまったA子は、

防衛機制として以下のような行動に出る事が考えられる。

 

 

【抑 圧】=Y君を忘れようと努力する。

 

【投 影】=Y君も自分を愛していると信じる。

 

【摂 取】=Y君の行動を真似する。

 

【同一化】=自分がY君になった気がして、Y君が危機に立てば自分もドキドキする。

 

【転 換】=Y君との思い出の場所に来るとドキドキする。

 

【置き換え】=Y君に似た人を好きになる。

 

【反動形成】=Y君に対して無関心を装ったり、故意に冷たくする。

 

【打ち消し】=教会や寺院などに行きY君を愛してしまったことを懺悔(ざんげ)し、なかった事にする。

 

【合理化】=Y君は素晴らしい人間で、Y君を愛することは正しく当然のことと考え、

       もっともらしい理由をつけて不倫を正当化しようとする。

 

【昇 華】=欲求不満をスポーツで解消したり、想いを詩に託す。

 

【逃 避】=Y君に自分の感情を悟られないようにY君の姿を見ると物陰に隠れたり、

       あるいは空想の世界に浸ってしまったりする。

 

 

 

 

 

◇防衛機制は日常誰にでもおこりうる。

ある場面に成功した防衛機制は、繰り返し現れる傾向がみられる。

その人の行動の特徴としてパーソナリティを形成する重要な要素となる。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

【アンナ・フロイト】(Anna Freud, 1895年12月3日~1982年10月9日)

 

精神分析の創始者・ジークムント・フロイトの娘で、イギリスの精神分析家。児童精神分析の開拓者。

ウィーン生まれ。ウィーンのコッタージ・リセウム(Cottage Lyceum)に学ぶ。

1914年にイギリスに渡り、戻って自分が学んだリセで教鞭をとる。

1918年、父から精神分析を学び、その道に入る。

最初の論文は、1922年発表。1923年から精神分析家としての実践を開始。

同年、父ジークムントが癌である事が判明、以来雑務に支障を来たすようになった父親に代わり、

国際精神分析学会の事務局長、ウィーン精神分析訓練研究所の所長などを引き受ける。

1939年、父親が死去してからは、ますます児童心理学に専念。

メラニー・クラインとの研究上の意見の相違からイギリスの精神分析学会で論争を引き起こす。

その間にも弟子(たとえば、エリク・エリクソンなど)を多数育て、

戦争が子ども達に与えた影響なども調査。

特に、幼児の防衛機制についての研究が名高い。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

【ジークムント・フロイト】(ドイツ:Sigmund Freud 1856年5月6日~1939年9月23日)

 

オーストリアの精神分析学者。オーストリアの白人系ユダヤ教徒アシュケナジーの家庭に生まれた。

神経病理学者を経て精神科医となり、神経症研究、自由連想法、無意識研究、

精神分析の創始を行い、さらに精神力動論を展開した。

非常に詳細で精密な観察眼を示す症例報告を多数残した。

それらは、現在においても次々と新しい角度から研究されている。

フロイトの提唱した数々の理論は、のちに彼の弟子たちによって

後世の精神医学や臨床心理学などの基礎となったのみならず、

20世以降の文学・芸術・人間理解に広く甚大な影響を与えた。

弟子たちは、フロイトの考え方のどこかしらを批判した上でこれを受け継ぎ、

様々な学派に分岐し、それぞれ独自の理論を展開していった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

※【参考文献】

「カウンセリング大事典」2004 小林司/編 新曜社
「図説 現代心理学入門」三訂版2007 金城辰夫/監修 培風館 
「自我と防衛」1985 A・フロイト/著 誠信書房
「自我と防衛機制」1998 アンナ・フロイト著作集 A・フロイト/著 岩崎学術出版社
「自我論 不安本能論」1970 S・フロイト著作集 S・フロイト/著 人文書院
「フロイト全集 第19巻」2010 S・フロイト/著 岩波書店
*1925-28年 否定、制止、症状、不安、素人分析の問題

「S・フロイト自我論集」1996 ジークムント・フロイト/著 筑摩書房

防衛機制

|

防衛機制 (defense mechanisms)

 

 

 

【神経症にもなりかねないような葛藤の中で、自我が自分を守ろうとするすべての心理的手段】

 

◇エスに対する自我の防衛は静かに気づかれないところで行われるので、直接に知ることはできず

推測によって、それが利用されていることを再構成出来るだけである。

子どもが小さいときには、環境に適応するために防衛する。

防衛はまた人格全体の均衡を維持する心理的過程でもある。

防衛はいくつか組み合わされて複雑な現象として姿を現してくることが多い。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

◇防衛という用語が初めて使われたのは、

フロイトの論文「防衛・神経精神病」(1894)においてである。

この論文でフロイトは、ヒステリー、強迫神経症、幻覚的錯乱状態として分類される精神病の差異を

自我には耐えがたい観念表象およびそれに伴う感情(興奮量)に対する、

防衛機制の差異によって説明している。

 

◇フロイトは「制止、症状、不安」(1926)で、

「神経症をおこすかもしれないような葛藤状態に置かれるときに、自我が利用するあらゆる手段を

一般に防衛という用語で呼ぶことにする。」と述べている。

 

◇アンナ・フロイトは「自我と防衛」(1937)で、

「精神分析の県境腕、今までのところはっきりわかっていることは、防衛法は衝動的なものに対する

自我の戦いであり、自我が次のような3種類の不安にさらされるとき、防衛が起こる。」

 

すなわち

(1)衝動による脅威からの不安

(2)現実の危険からくる不安

(3)超自我(良心)のとがめから生じる不安

さらに、「矛盾する衝動の間に葛藤が生じる時にも防衛がおこる」と述べており、

不安を防衛する自我機能を彼女が重視していることがわかる。

続けて、

「だが、自我は内から生じる不快に対してのみ防衛するものではない(中略)

外の環境に対して、積極的に抵抗することができない小さい子どもの自我は、あらゆる方法をつくして

自我におそいかかる現実の不快や危険を防衛しようと努力する。」と言って、

臨床例を出して考察している。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

◇動物恐怖症の少年の事例 「ハンスの動物恐怖症」

*現実の環境の不快に対する防衛に、エスに対する防衛が含まれている動物恐怖症。

 

・この少年の神経症はエディプス・コンプレックスの正常な興奮にもとづいており、

内部と外部に向かって、同時に防衛過程が起きている。

5歳の少年ハンスは、母親を愛し、父親に対しては嫉妬のために攻撃的態度をとっていた。

その結果、父親に対するやさしい愛情と攻撃的態度との間に葛藤が生まれざるをえなくなった。

父親に対する攻撃的衝動の罰として、自分は去勢されるのではないかという不安がおきた。

彼はこの去勢不安を現実の不安と同じように恐れた。

そのため、あらゆる衝動に対する防衛が動員されるに至った。

 

この神経症では、「置き換え」という方法が利用された。

父親に対する去勢不安は、動物に対する不安に置き換えられた。

父親に対する恐怖を「反転」して父親から迫害されているという不安に変えた。

さらに、現実の実情を完全にゆがめてしまうために口唇期の特徴である咬みきられるのではないか

という不安にまで「退行」したのである。

これらの防衛機制によって衝動に対する防衛の目的は完全に満たされた。

しかし、恐怖症という機構の助けを借りて不安の発作を避けるためには神経症によくあるように、

ある特定の行動を制止しなければならなかった。

だから、戸外に出る事を断念しなければならなかったのだ。

フロイトはこれらの防衛機制を取り除きながら分析治療を進めていき、

ハンスの神経症を治療したのである。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

【代表的な防衛機制】(defense mechanisms)

 

◇自分が自己の存在を守るため、人格の統一、あるいは人格の一貫性を維持するために、

自我に対して心理的圧力をもつ現実や超自我などに対して抵抗し、防衛することを言う。

 

A)抑圧

・衝動やその観念的表象、願望を拒否し、意識に現れないようにする無意識的過程。

・外的な現実を拒絶して、不快な体験を認めないようにするはたらき。

「抑圧」が内からの脅威に対する防衛であるのに対し、

「否認」(denial)、否定は、外からの脅威に対する防衛であるところが特徴。

「子どもが不治の病である」と知らされても親が信じようとしない場合などが否認、否定にあたる。

 

B)退行(regression)

・前生殖器段階の未発達な段階に逆戻りすること。

・現在の状態より以前の状態へ、あるいはより未発達な段階へと逆戻りすること。

この用語は、Freud, S.によって当初心的装置に関する局所論的な意味で使われていて

発達的な意味はなかった。

Freud, A. は退行は他の防衛機制と組合わさって使われるのが普通で、

他の防衛機制とそれほど明確に区別できないとした。

治療の中で被分析者が全体的な幼児的退行状態に至るまでの様子を記述する中で、

治療の中で重視すべき概念としたのはWinicotto, D. W. やBalint, M.など。

これは「治療的退行」と呼ばれ、

患者が治療によって抱えられることによって病的な状態と健康な状態を橋渡しするものであるため、

治療にとって不可欠であると考えられている。

 

C)反動形成(reaction-formation)

・承認することのできない興奮が意識に現れた時に、反対の興奮に変化すること。

・衝動や願望が意識化されないように、その衝動や願望と反対方向の態度が過度に強調される事。

友人に対して腹が立つことがあり、批判したり非難していたにもかかわらず、

本人の前では親切なやさしい接し方をするなどがこれにあたる。

 

D)隔離

・他人を攻撃したり、叱ったりした場合、攻撃したり、叱った事だけを記憶して、

その時の感情に関係あるすべての事柄をすべて忘れてしまうこと。

 

E)打ち消し(undoing)

・他人を攻撃、非難しておきながら、そのあとになって、

あたかも攻撃、非難しなかったかのように親切になること。

・過去の思考・行為に伴う罪悪感や恥辱の感情を、それとは反対の意味を持つ思考ないし

行動によって打ち消そうとするはたらき。

「否認」は単に外界の不快・恐怖から回避することであるが、

「打ち消し」は、やりなしたり償おうとするところが特徴。

何度も手を洗うなどのいわゆる強迫神経症者の行為は、典型的な打ち消しであると解釈される。

※強迫神経症の防衛機制は「置き換え」になっています。

 

F)投影

・すべてのものに生命や魂があると考える児童のアニミズムは、

正常な精神発達において現れる投影である。

自分がケチな場合、他人がケチだと思う。

 

G)取り入れ

・口に適したものは何でも食べる。同一視は取り入れによって生じる。

上役がいばると、自分も威張る。

母親が乱暴な言葉を使うと、その子どもも乱暴な言葉使いになる。

 

H)自己愛的内向

・自分の気に入るような鏡像を作り上げ、それを見て安心したり、満足したりする。

 

I )転倒

 

J)昇華(sublimation)

・性や攻撃性など社会的に認められない衝動を芸術活動やスポーツなどの

より社会的・道徳的に価値のあるものに置き換えること。自我が自分を守るための手段のひとつ。

・社会的に容認されない衝動を、社会的に容認される形に変形させて表出させること。

攻撃衝動の強い人が、スポーツ選手や外科医になる。

レオナルド・ダ・ビンチが自分の同性愛的衝動を芸術に表現に昇華して、

「モナ・リザ」を生み出した(フロイトの解釈)など。

 

K)置き換え(desplacement)

・無意識のうちに、ある対象に向けられた自分の感情の対象を他のものに置き換えたり、

本来解決すべき問題を他の目標やほかの方法で置き換えてしまうことにより、

不満、恐怖、葛藤といった心の緊張を解消しようとすること。

・自分の衝動や願望をある対象(その衝動の原因となった対象)に向けることが、なんらかの理由で

容認されない場合、その衝動を他の対象に向けること。

自分の感情は理解しているが、それを生じさせた対象を誤る過程。

たとえば上司に怒られた人が部下に対して攻撃の矛先を向ける場合など。

 

L)合理化(rationalization)、 知性化(intellectualization)

・自分の行為の本当の動機を隠して、もっともらしい意味づけを行うことによって、

自らを正当化したり、罪悪感から免れるための心のしくみ。

・知性化とは、主として性的または攻撃的な欲求・衝動・感情を、直接表現したり

解放したりするのを避けて、これらを抑圧し、

知的認知や観念的思考によって統制しようとする防衛機制である。

 

Freud. A.(1895~1982)は、

合理化を、知性化という防衛が不安定になったり弱くなったものをみなし、

知性化の場合には、防衛されてる感情や欲動が分離されるとともに、

知性化の過程事態がこれらの代理満足を兼ねているのに対して、

合理化の場合には、防衛される感情や欲動が十分に分離されないままに

正当化されるものであるとした。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

【アンナ・フロイト】(Anna Freud, 1895年12月3日~1982年10月9日)

 

精神分析の創始者・ジークムント・フロイトの娘で、イギリスの精神分析家。児童精神分析の開拓者。

ウィーン生まれ。ウィーンのコッタージ・リセウム(Cottage Lyceum)に学ぶ。

1914年にイギリスに渡り、戻って自分が学んだリセで教鞭をとる。

1918年、父から精神分析を学び、その道に入る。

最初の論文は、1922年発表。1923年から精神分析家としての実践を開始。

同年、父ジークムントが癌である事が判明、以来雑務に支障を来たすようになった父親に代わり、

国際精神分析学会の事務局長、ウィーン精神分析訓練研究所の所長などを引き受ける。

1939年、父親が死去してからは、ますます児童心理学に専念。

メラニー・クラインとの研究上の意見の相違からイギリスの精神分析学会で論争を引き起こす。

その間にも弟子(たとえば、エリク・エリクソンなど)を多数育て、

戦争が子ども達に与えた影響なども調査。

特に、幼児の防衛機制についての研究が名高い。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

【ジークムント・フロイト】(ドイツ:Sigmund Freud 1856年5月6日~1939年9月23日)

 

オーストリアの精神分析学者。オーストリアの白人系ユダヤ教徒アシュケナジーの家庭に生まれた。

神経病理学者を経て精神科医となり、神経症研究、自由連想法、無意識研究、

精神分析の創始を行い、さらに精神力動論を展開した。

非常に詳細で精密な観察眼を示す症例報告を多数残した。

それらは、現在においても次々と新しい角度から研究されている。

フロイトの提唱した数々の理論は、のちに彼の弟子たちによって

後世の精神医学や臨床心理学などの基礎となったのみならず、

20世以降の文学・芸術・人間理解に広く甚大な影響を与えた。

弟子たちは、フロイトの考え方のどこかしらを批判した上でこれを受け継ぎ、

様々な学派に分岐し、それぞれ独自の理論を展開していった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

※【参考文献】

「カウンセリング大事典」2004 小林司/編 新曜社
「自我と防衛」1985 A・フロイト/著 誠信書房
「自我と防衛機制」1998 アンナ・フロイト著作集 A・フロイト/著 岩崎学術出版社
「自我論 不安本能論」1970 S・フロイト著作集 S・フロイト/著 人文書院
「フロイト全集 第19巻」2010 S・フロイト/著 岩波書店
*1925-28年 否定、制止、症状、不安、素人分析の問題

「S・フロイト自我論集」1996 ジークムント・フロイト/著 筑摩書房

 

 

折衷的カウンセリングの技術 (technique of the eclectic counseling)

折衷主義カウンセリングの技術

 

 

 

【折衷的カウンセリングの技術とは】

 

・折衷主義の立場に立って、特定の理論や技法にこだわらず、

クライエントに役立つことなら何でも取り入れる技術。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・折衷的カウンセリングとは、特定のカウンセリング理論、技法にとらわれずに、

目の前にいるクライエントのために、複数のカウンセリング理論、技法を駆使して、

そのクライエントに最善の方法で接して行こうというカウンセリングの理論であり、

カウンセラーの態度、立場、哲学である。

統合主義カウンセリング、選択主義カウンセリングとも言う。

 

 

 ★.。*・゜゜‥*。.☆.。*・゜゜‥*。. ★.。*・゜゜‥*。.☆.。*・゜゜‥*。.★

 

 

折衷的カウンセリングの目標は、三つある。

 

1、クライエントの幸福感や適応感の向上

・適応状態に満足できないクライエントの個人的適応感を増加させ、満足な状態にまで高める。

 

2、環境に対する適応の改善

・社会的適応の増進である。たとえば、対人関係の改善・学力の向上・現実的な職業選択・

・幸福な結婚など社会的目標の達成を援助する。

 

3、不適応の兆候の除去

・それは、問題行動の単なる禁圧ではない。すなわち、

すべての問題兆候の改善を望ましい方向へパーソナリティの変容によってもたらすよう努める。

技術については次の四つの特徴が挙げられる。

 

 

★.。*・゜゜‥*。.☆.。*・゜゜‥*。. ★.。*・゜゜‥*。.☆.。*・゜゜‥*。.★

 

 

【技術:四つの特徴】

 

(A)クライエントの受容

・受容的態度はすべてのカウンセリングに一致しているのであるが、

次の4点に折衷的カウンセリングの特徴がある。

 

1:受容を重視する程度の違い。すなわちここでは「受容と同様に他の次元も重要である」と考える。

2:受容すなわち温かさをコントロールする。

3:受容の撤回を治療への動機づけに利用する。

4:報酬としての受容的態度を用いる。

 

 

(B)クライエントの発言の理解と反応

・クライエントの発言を形成している本質的な考え方を正しく理解することが大切である。

また、話の内容都感情とのどちらが重要であるかを決定しなければならない。

 

 

(C)責任の分担

・カウンセリングはその時の場面に適応するために責任が移動する共同作業である。

クライエントが自己の問題の探求についての責任をとろうとする意欲を向上させるために

責任の分担ということはカウンセリングでは重要な側面である。

 

 

(D)リード

・クライエントと責任を分担する程度を按配(あんばい)する技術をリードと呼ぶ。

リードの技術として14種類がある。

 

1、沈黙

2、受容

3、繰り返し

4、明瞭化

5、要約

6、是認

7、一般的リード

8、仮の分析

9、解釈

10、説得

11、深層解釈

12、否認

13、保証

14、新しい問題の導入

 

 

 

 

◇・現在は不適応の現れ方が複雑になってきたために、

一つの理論のみで対応ができなくなってきている。 

多くのカウンセラーは、折衷的立場でカウンセリングをしている。

 

  

 

 

★.。*・゜゜‥*。.☆.。*・゜゜‥*。. ★.。*・゜゜‥*。.☆.。*・゜゜‥*。.★

 

 

 

 

※【参考文献】

「事例 発達臨床心理学事典」1994 杉原・新井・渡辺弘純・庄司一子/著 福村出版
「カウンセリング大事典」2004 小林司/編 新曜社
「マイクロカウンセリングの理論と実践」2004 アレン・E.アイビイ/著 風間書房
「臨床心理学キーワード」2005 坂野雄二/編 有斐閣双書

 

 

折衷的カウンセリング (eclectic counseling)

折衷主義カウンセリング

 

 

 

【折衷的カウンセリングとは】

 

・折衷的カウンセリングとは、特定のカウンセリング理論、技法にとらわれずに、

目の前にいるクライエントのために、複数のカウンセリング理論、技法を駆使して、

そのクライエントに最善の方法で接して行こうというカウンセリングの理論であり、

カウンセラーの態度、立場、哲学である。

統合主義カウンセリング、選択主義カウンセリングとも言う。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

◆1955年にオールセン(M.M.Ohlsen)は、

支持的な方法と非支持的な方法とを統合することを記している。

支持的技術によって診断を、非支持的技術によって感情への反応を目指した。

彼、オールセン(M.M.Ohlsen)は別のクライエントに別の技術を使うばかりではなしに、

同一のクライエントに対しても、時期によって、これらを交互に使うことを考えた。

※文献「グループカウンセリング1972年」 M.オールセン 中野・伊東博/翻訳 誠信書房

 

 

◆ラガルス(A.A.Lagarus)は、クライエントのパーソナリティが

次の七つの機能を統合したものからなると考え、

これらに対してかわるがわる働きかけることを提案した。

 

1:行動

2:情動プロセス

3:感覚

4:イメージ

5:認知

6:対人関係

7:生物学的機能(Biggs)

 

 

現在(2004年)ではカウンセラーの30~50%が折衷的カウンセリングを行っているといわれている。

しかしこれには、賛否両論あり、混乱を起こしかねない。

これを防ぐためにはカウンセラーの技術のレベルが高くなければならない。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

◆最近では、ジェラルド・イーガン(Gerard  Egan)によるイーガン・アプローチ(1990年)が

各種の理論から採った「問題を扱うためのモデル」を系統的に使うことによって

安定した援助を出来る点で注目されている。

問題を正確にとらえ、問題をおこしている状態を明確にして、

問題を起こす機会を減らそうというものである。

対人関係の態度とコミュニケーション技術を統合し、目標を定めることで、影響力・行動を強調する。

発展的折衷的カウンセリングまたは系統的折衷的カウンセリング Feltheam and Drydenn

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

◆國分康孝によれば、カウンセラーは精神分析、来談者中心療法、行動療法、特性・因子理論、

実存主義的アプローチ、交流分析、ゲシュタルト療法、論理療法など八つの方法の理論と技法を

身につける事が必要である。

この中で、國分が特に強調するのは精神分析、来談者中心療法、行動療法の三つである。

この三つの理論と技法に精通していれば、基本的にはほとんどのクライエントを援助できる。

 

精神分析理論でクライエントの問題をつかみ、

来談者中心療法でクライエントとのリレーション(関係) を作り、

行動療法の技法を用いてクライエントの問題解決を援助する。

 

折衷主義の立場に立つカウンセラーは、

少なくともこの三つの理論と技法を自分のものにしておく必要がある。

 

◎ マイクロカウンセリング(アレン・アイビイ)

◎ ヘルピングカウンセリング(ロバート・カーカフ)

◎ 論理療法(アルバート・エリス)

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

【アメリカにおける折衷的カウンセリングの動向】

 

アメリカにおける折衷的カウンセリングの動向としては、

・マイクロカウンセリング(アレン・アイビイ)

・ヘルピング(ロバート・カーカフ Robert R.Carkhuff)

・論理療法(アルバート・エリス)

 

以上の三つをあげることができる。

 

 

 

【アイビイのマイクロカウンセリング】

・さまざまなカウンセリングの技法を受身的なものから能動的なものへと、直接的、段階的に並べて

クライエントの問題によって段階的に技法を選択して面接を行う。

選択主義的な折衷主義である。

 

 

【カーカフのヘルピング】

・カウンセリングを援助活動(ヘルピング)ととらえ、

援助過程をかかわり技法、応答技法、意識化技法、手ほどき技法の4段階にまとめた、

統合主義的な折衷主義である。

 

 

【エリスの論理療法】

・それまでのさまざまなカウンセリング技法を、ビリーフの修正に効果が上がるように

統合した折衷主義である。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

◇さまざまな悩みや問題を抱えて相談に訪れるさまざまな個性のクライエントに対して、

ただ一つのカウンセリング理論・技法だけに固執して面接を行うのは、

理論中心のカウンセリングであり、真の意味での来談者のためのカウンセリングではない。

もちろん、極端に自分の専門から離れた問題をもちこんだクライエントについては、

その問題を専門とする他のカウンセラーにリファーしなければならないし、それが倫理である。

 

しかし、さまざまな個性をもったクライエントがさまざまな問題を抱えているのが現実であるから、

カウンセラーが自分の好みに合わない問題を抱えているクライエントには面接しないというのでは、

カウンセリングの理論のためにクライエントを探しているようなもので、

カウンセラーが自分のためにカウンセリングを行っているということになる。

 

ある特定のカウンセリング理論・技法の研究者であるならばそれで良いであろうが、

カウンセラーの仕事は臨床が主である。少しでも多くのカウンセリング理論や技法に精通し、

より多くの症例に接して自分の技量を鍛え、クライエントの個別の問題に対して、

それまでの自分の全経験の中から、そのクライエントの問題に最も適する理論・技法を選んで

面接に当たるのが、本来の意味でのカウンセリングではないだろうか。

このように考えるのが折衷的カウンセラーの立場である。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

【折衷主義の立場に立つカウンセラーの心構え】

 

・折衷的カウンセリングはさまざまなカウンセリング理論の技法を用いるために、

ややもするとそれらの技法をモザイク的に並べることになってしまうことがある。

これを防ぐためには、多くのカウンセリング理論の中から、

核になる理論を一つか二つ決めておくと混乱しなくて良いであろう。

 

また、さまざまな技法に振り回されずに、それらの技法を使いこなすためには、

自分の哲学をきちんともつことが重要である。

人間観、治療観が揺れ動くようではカウンセリングはできない。

自分のよって立つ哲学をはっきりさせることで、

人間観、治療観をゆるぎないものにしておく必要がある。

 

さらに、折衷的カウンセラーの中にはさまざまな理論や技法を知っているだけに、

一人のクライエントにさまざまな技法を試してみようとして、

クライエントを抱え込みすぎるカウンセラーが現れる可能性は否めない。

自分の手にあまるクライエントをベテランのカウンセラーにリファーすることも、

カウンセラーとしての倫理であり、勇気である。

 

 

 

 

★.。*・゜゜‥*。.☆.。*・゜゜‥*。. ★.。*・゜゜‥*。.☆.。*・゜゜‥*。.★

 

 

 

 

※【参考文献】

「カウンセリング大事典」2004 小林司/編 新曜社
「マイクロカウンセリングの理論と実践」2004 アレン・E.アイビイ/著 風間書房
「臨床心理学キーワード」2005 坂野雄二/編 有斐閣双書

 

 

 

ハンス・セリエ

|

ハンス・セリエ  Hans Selye (1907-1982)

 

 

 

【ハンス・セリエ】ハンス・セリエ Hans Selye (1907-1982)

 


・セリエは、カナダの科学者でキャノンやベルナールなどの研究を発展させ、

刺激に対する生体の反応について体系づけ1936年Natureという科学雑誌に「ストレス学説」を発表。

 

日常的に用いられるストレスという言葉は、有害な環境因子(ストレッサー)を意味するが、

ハンス・セリエが導入したストレス概念は、有害・無害、有益・無益を問わず、

何らかの刺激に対する生体の非特異的な反応を意味するもの。

 

「ストレス」という言葉は生物が外的あるいは内的な刺激に適応していく過程を概念化したもの。

適応の過程では自律神経や各種のホルモンが働く。人の意志の働く。

 

 

セリエの「 stress without distress」という著書に "Stress is the spice of life" という文章がある。

 

「ストレスは人生のスパイスである」という意味。

 

彼はまた "Absence of stress is death" とも述べている。

「ストレスの欠如は、死である」という意味。

 

 

ストレス(ストレッサー)には有害なものだけでなく有益なものもあり、

いずれにしても生きていく上で避けて通ることが出来ないものなら、

悪と善の区別することなく丸ごと受け入れて、乗り切ることが大切だということを説いている。

 

 

 

☆.。*・゜゜‥*。.★.。*・゜゜‥*。. ☆.。*・゜゜‥*。.★.。*・゜゜‥*。.☆

 

 

 

【ストレス】

 

 

◆心理学的ストレス理論

・生活の中で日常的に感じるストレスを心理学的に理解してその対処を考える理論。

 

◆ストレスの心理学的理解

・ハンス・セリエ(1907~1982)によって提唱された「ストレス」の概念は、

外界からもたらされる非特異的な身体的反応を総称するものであった。

 

ところが・・・

セリエのストレス学説は基本的に生理学的なストレスのメカニズムに焦点を当てており

心理学的要因についてはほとんど考慮されていなかった。

 

その後の研究においては・・・

いずれもストレスが生起する過程において心理学的要因が重要であることが報告されている。

 

現在「心理学的ストレス」の定義として最も広く支持されているのは、

アメリカの心理学者「R・S・ラザルス(1922~2003)」の定義である。

 

ラザルスは、ストレスを、「外的状況の特性や内的状態ではなく、環境の要求とその認知、

およびそれに対する対処能力の認知との複雑な相互作用からもたらされる過程を指す」と定義した。

 

 

 

◆心理学的ストレス反応は・・・ 

情動的な変化を中心とする反応であり、

情動的反応に伴って生じる認知的反応や行動的反応を含んでいる。

 

  

 

 

★.。*・゜゜‥*。.☆.。*・゜゜‥*。. ★.。*・゜゜‥*。.☆.。*・゜゜‥*。.★

 

 

 

 

※【参考文献】

「臨床心理学キーワード」2005 坂野雄二/編 有斐閣双書
「認知療法・認知行動療法カウンセリング」2006 伊藤絵美/著 清和書店
「 stress without distress 」 ハンス・セリエ/著

ラザルス

|

ラザルス  Lazarus,Richard S. (1922-2003) アメリカの心理学者

 

 

 

【R・Sラザルス】 (1922-2003) 

 

・ラザルスは、心理的ストレス研究の第一人者であり、

ストレスに対する認知の役割を重視した理論を提唱している。

 

 

ストレスの程度について・・・

 

1:出来事の脅威度や影響性をどのようにとらえているか

2:直面する問題をどの程度コントロールできると認識しているか

3:どのような具体的対応を行ったかの個人差に強く影響される

 

 

ラザルスらは、この理論に基づく実証的研究を幅広い年齢層に対して行い、

心理的ストレス発生のメカニズム解明に大きく貢献した。

 

 

 

☆.。*・゜゜‥*。.★.。*・゜゜‥*。. ☆.。*・゜゜‥*。.★.。*・゜゜‥*。.☆

 

 

 


【ストレス】

 

◆心理学的ストレス理論

・生活の中で日常的に感じるストレスを心理学的に理解してその対処を考える理論。

 

◆ストレスの心理学的理解

・ハンス・セリエ(1907~1982)によって提唱された「ストレス」の概念は、

外界からもたらされる非特異的な身体的反応を総称するものであった。

 

ところが・・・

セリエのストレス学説は基本的に生理学的なストレスのメカニズムに焦点を当てており

心理学的要因についてはほとんど考慮されていなかった。

 

その後の研究においては・・・

いずれもストレスが生起する過程において心理学的要因が重要であることが報告されている。

 

現在「心理学的ストレス」の定義として最も広く支持されているのは、

アメリカの心理学者「R・S・ラザルス(1922~2003)」の定義である。

 

ラザルスは、ストレスを、「外的状況の特性や内的状態ではなく、環境の要求とその認知、

およびそれに対する対処能力の認知との複雑な相互作用からもたらされる過程を指す」と定義した。

 

 

◆心理学的ストレス反応は・・・ 

情動的な変化を中心とする反応であり、

情動的反応に伴って生じる認知的反応や行動的反応を含んでいる。

 

  

 

★.。*・゜゜‥*。.☆.。*・゜゜‥*。. ★.。*・゜゜‥*。.☆.。*・゜゜‥*。.★

 

 

 

 

 

※【参考文献】

「臨床心理学キーワード」2005 坂野雄二/編 有斐閣双書
「認知療法・認知行動療法カウンセリング」2006 伊藤絵美/著 清和書店
「 stress without distress 」 ハンス・セリエ/著

アルバート・エリス

|

アルバート・エリス 

 

 

 

【アルバート・エリス】 Ellis,Albert (1913年9月27日~2007年7月24日)

 

 

・アメリカの心理学者。

 

論理療法の創始者であり、ニューヨーク市で論理療法研究所を主宰している。

エリスの理論では、人間の認知・感情・行動は互いに影響し合っており、

論理療法は、この3つの側面を統合的にとらえるという特徴をもつとしている。

 

・論理療法では、クライエントの非現実的な信念や思考過程の修正を求め、

新しいシェマを通じて環境と関わることを目指す。

エリスは結婚、家族、性の問題についての治療、研究を積極的に行っている。

 

 

 

 

 

 

 

※【参考文献】

「臨床心理学キーワード」2005 坂野雄二/編 有斐閣双書
「論理療法入門」1998 ウィンディ・ドライデン/著 川島書店
「実践論理療法入門」1997 ウィンディ・ドライデン レイモンド・デジサッピ/著 岩崎学術出版
「論理療法」1981 アルバート・エリス R・A・ハーバー/著 川島書店
「自分をみじめにしないためには」1996 アルバート・エリス/著 川島書店
「自己変革の心理学」1990 伊東順康/著 講談社現代新書
「自己発見の心理学」1991 国文康孝/著 講談社現代新書

 

 

論理療法の理論

|

論理療法

 

論理療法の理論

 

*論理療法は、1955年

アメリカの心理学者:アルバート・エリス Ellis,Albert (1913年9月27日~2007年7月24日)

によって創始されたカウンセリングの理論です。

 

非論理的な思考を見つけて取り出し、それに有効な反論を加えて、

次第に考え方を変更するように導き、適切な思考を取り戻すことによって、

よりよい自己実現と幸福な生活に向かうことを援助します。

 

 

 

◆ A (activat-ing event 出来事)

◆ B (belief system 受け取り方)

◆ C (consequence 感情、行動)

◆ D (dispute 反論)

◆ E (effect 効果)

 

 

 

A(出来事)が、C(感情・行動)を生むのではなく、

B(受け取り方)が、C(感情・行動)を生むという考え方をします。

 

A(出来事)が変化しなくても、

B(受け取り方)が変われば、C(感情・行動)も変わります。

 

これを、ABC理論と言います。

 

 

B(受け取り方)には、

ラショナル・ビリーフ(正しい受け取り方)と

イラショナル・ビリーフ(間違った受け取り方)の2種類があります。

 

ラショナル・ビリーフ(正しい受け取り方)は、

「~にこしたことはない」と考え、柔軟性と論理性があり、

現実に合った、健全な目標を達成するのに役立ちます。

 

イラショナル・ビリーフ(間違った受け取り方)は、

「~ねばならない」「~すべきである」と考え、頑固で非論理的で、

現実と一致せず、健全な目標を妨げます。

 

 

イラショナル・ビリーフ(間違った受け取り方)に、D(反論)を加えて、

ラショナル・ビリーフ(正しい受け取り方)に変えることによって、

よりよいE(効果)を得ます。

 

これを、ABCDE理論と言います。

 

 

 

 

 ★.。*・゜゜‥*。.☆.。*・゜゜‥*。. ★.。*・゜゜‥*。.☆.。*・゜゜‥*。.★

 

 

 

 

【論理療法の過程】 プロセス

 

1、問題を尋ねる

 

2、C(感情・行動)を査定する

 

3、A(出来事)を査定する

 

4、B(受け取り方)とC(感情・行動)の関連を伝える

 

5、B(受け取り方)を査定する

 

6、イラショナル・ビリーフとC(感情・行動)を関連づける

 

7、イラショナル・ビリーフにD(反論)する

 

8、ラショナル・ビリーフへの確信を深める

 

9、宿題

 

10、宿題のチェック(5項目)

 

a : クライエントが、A (出来事)に直面したか

b : クライエントが、B (受け取り方)を変えたか

c : クライエントが不適切で否定的な感情を起こす頻度が以前より少なくなっているか

d : クライエントが不適切で否定的な感情を起こすときの強さが以前より弱くなっているか

e : クライエントが不適切で否定的な感情を起こす時間が以前より短くなっているか

 

 

 

 

 ★.。*・゜゜‥*。.☆.。*・゜゜‥*。. ★.。*・゜゜‥*。.☆.。*・゜゜‥*。.★

 

 

 

 

【アルバート・エリス】 Ellis,Albert (1913年9月27日~2007年7月24日)

 

 

・アメリカの心理学者。

 

論理療法の創始者であり、ニューヨーク市で論理療法研究所を主宰している。

エリスの理論では、人間の認知・感情・行動は互いに影響し合っており、

論理療法は、この3つの側面を統合的にとらえるという特徴をもつとしている。

 

・論理療法では、クライエントの非現実的な信念や思考過程の修正を求め、

新しいシェマを通じて環境と関わることを目指す。

エリスは結婚、家族、性の問題についての治療、研究を積極的に行っている。

 

 

 

 

 

 

 

※【参考文献】

「論理療法入門」1998 ウィンディ・ドライデン/著 川島書店
「実践論理療法入門」1997 ウィンディ・ドライデン レイモンド・デジサッピ/著 岩崎学術出版
「論理療法」1981 アルバート・エリス R・A・ハーバー/著 川島書店
「自分をみじめにしないためには」1996 アルバート・エリス/著 川島書店
「自己変革の心理学」1990 伊東順康/著 講談社現代新書
「自己発見の心理学」1991 国文康孝/著 講談社現代新書

 

 

論理療法

|

論理療法 (合理情動療法・合理情動行動療法)

 

*考え方を変化させることで、行動や感情の問題を改善する

アメリカの心理学者:アルバート・エリス Ellis,Albert (1913年9月27日~2007年7月24日)

の創始した心理療法。

 

 

 

論理療法とは

 

アメリカの心理学者:アルバート・エリス Ellis,Albert  (1913年9月27日~2007年7月24日)

により始められた心理療法。合理情動療法と訳されることもある。

 

近年ではアルバート・エリス自らが「行動」の文字を加え、

REBT(rational emotive behavioral therapy)と命名している。

 

 

 

認知、すなわち考え方の変容を治療目標とする1つの治療体系である。

人の行動や感情は、周囲からの刺激によってのみ起きるのもではなく、

その刺激をどのように解釈したのか、などという認知的変数によって生じると考えた。

この点では、アーロン・ベック(1921年~)によって開発された認知療法と同じである。

 

 

 

 

 

◆論理療法とABCシェマ

 

・論理療法の特徴はABCシェマと呼ぶ理論に集約される。

Aは、activat-ing event の略であり、その後の一連の反応を導き出す原因となる出来事である。

 

Bは、belief であり、信念(ビリーフ)と訳される。

これは、Aについての思考や信念などの認知的変数を表す。

 

Cは、consequence で、Bから生じた情動的あるいは行動的結果であり、反応のことである。

 

 

 

◆論理療法のプロセス

 

・クライエントにとっては出来事Aが結果Cを直接引き起こすように思われる。

しかし、実は、出来事と結果の間に、信念Bと呼ぶ認知スタイルが存在する。

この時、結果Cがその人にとって不幸な状態であるならば、

そのクライエントを不幸にする考え方や思考スタイルを、

非合理的な信念(irrational belief)と呼ぶ。

 

 

論理療法ではABCシェマの構造について学び、非合理的な信念に代わって、

問題を軽くする思考スタイル、つまり合理的な信念(rational belief)を用いるよう勧める。

 

信念の変更に抵抗がある場合は、論争(dispute)などの方法を用い、

そのうえで実際の場面で合理的信念(rational belief)を適用する宿題(homework)を行わせる。

 

 

 

 

 ★.。*・゜゜‥*。.☆.。*・゜゜‥*。. ★.。*・゜゜‥*。.☆.。*・゜゜‥*。.★

 

 

 

 

【アルバート・エリス】 Ellis,Albert (1913年9月27日~2007年7月24日)

 

 

・アメリカの心理学者。

 

論理療法の創始者であり、ニューヨーク市で論理療法研究所を主宰している。

エリスの理論では、人間の認知・感情・行動は互いに影響し合っており、

論理療法は、この3つの側面を統合的にとらえるという特徴をもつとしている。

 

・論理療法では、クライエントの非現実的な信念や思考過程の修正を求め、

新しいシェマを通じて環境と関わることを目指す。

エリスは結婚、家族、性の問題についての治療、研究を積極的に行っている。

 

 

 

 

 ★.。*・゜゜‥*。.☆.。*・゜゜‥*。. ★.。*・゜゜‥*。.☆.。*・゜゜‥*。.★

 

 

 

 

【アーロン・ベック】 Beck,Aaron T. (1921~  )

 

・アメリカの精神科医。

うつ病を中心としたさまざまな精神障害や

パーソナリティ障害に対する認知療法を創始し、体系化した。

 

・アーロン・ベックは、

うつ病には特有の思考内容や

非論理的で非現実的な思考パターン(認知のゆがみ)のあることを観察し、

うつ病患者の障害はこのような思考障害ゆえに生じるという仮説のもとに、

認知の歪みのもととなる個人のスキーマ(価値観、信念)を修正することが出来る事を示した。

 

 

 

 

 

 

 

※【参考文献】:「臨床心理学キーワード」2005 坂野雄二/編 有斐閣双書

 

 

 

このアーカイブについて

このページには、

2010年8月

に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2010年7月です。

次のアーカイブは2010年9月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。