防衛機制 (defense mechanisms)
防衛機制の例 (examples of defense mechanisms)
【1】心の緊張や不安を回避し、自分自身の気持ちを安定させようとする無意識の働き。
【2】超自我、エス、現実からの要求による圧力に対して、
自我を守るために無意識に行われる適応方法。
◇防衛機制の概念を提唱したのは、S.フロイトである。
彼は精神分析理論の中で、自我の機能の一つは外部からの危機を避ける事であり、
自我が現実からの要求、超自我、エスという三者の圧力の中で無意識にとる適応方法として
防衛機制を説いた。
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◇私たちは、生活を営む上で環境に適応し、様々な欲求を叶え、
不安や不満、恐怖を取り除くことで満足が得られる。
しかし、いつも現実的な解決をできるとは限らない。
無意識のうちにも心の中で環境に適応しようとして、葛藤や要求を処理し、
不安から解放され心の安定を得るために働く機制を防衛機制という。
防衛機制は心の緊張を解放しようとするものであるが、無意識に働くので合理的解決が得られず、
その解決が現実的な解決ではないから、欲求が解消しない限り、
再び同じ現実の場面に戻されてしまうという問題点がある。
さらには、現実からの逃避という形もあるために、不適応行動として現れる場合もある。
そのため、ヒステリーや強迫神経症、うつ病との関連が指摘されている。
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【主な防衛機制】(defense mechanisms)
◇主な防衛機制には、抑圧、投影、摂取、同一化、転換、置き換え、反動形成、打ち消し、合理化、
昇華、逃避、退行などがある。
昇華という防衛機制では、時として詩、小説、絵画や彫刻など、
文学や芸術の面で優れた作品を生み出すことがある。
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●例:家庭をもっているY君を愛してしまったA子は、
防衛機制として以下のような行動に出る事が考えられる。
【抑 圧】=Y君を忘れようと努力する。
【投 影】=Y君も自分を愛していると信じる。
【摂 取】=Y君の行動を真似する。
【同一化】=自分がY君になった気がして、Y君が危機に立てば自分もドキドキする。
【転 換】=Y君との思い出の場所に来るとドキドキする。
【置き換え】=Y君に似た人を好きになる。
【反動形成】=Y君に対して無関心を装ったり、故意に冷たくする。
【打ち消し】=教会や寺院などに行きY君を愛してしまったことを懺悔(ざんげ)し、なかった事にする。
【合理化】=Y君は素晴らしい人間で、Y君を愛することは正しく当然のことと考え、
もっともらしい理由をつけて不倫を正当化しようとする。
【昇 華】=欲求不満をスポーツで解消したり、想いを詩に託す。
【逃 避】=Y君に自分の感情を悟られないようにY君の姿を見ると物陰に隠れたり、
あるいは空想の世界に浸ってしまったりする。
◇防衛機制は日常誰にでもおこりうる。
ある場面に成功した防衛機制は、繰り返し現れる傾向がみられる。
その人の行動の特徴としてパーソナリティを形成する重要な要素となる。
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【アンナ・フロイト】(Anna Freud, 1895年12月3日~1982年10月9日)
精神分析の創始者・ジークムント・フロイトの娘で、イギリスの精神分析家。児童精神分析の開拓者。
ウィーン生まれ。ウィーンのコッタージ・リセウム(Cottage Lyceum)に学ぶ。
1914年にイギリスに渡り、戻って自分が学んだリセで教鞭をとる。
1918年、父から精神分析を学び、その道に入る。
最初の論文は、1922年発表。1923年から精神分析家としての実践を開始。
同年、父ジークムントが癌である事が判明、以来雑務に支障を来たすようになった父親に代わり、
国際精神分析学会の事務局長、ウィーン精神分析訓練研究所の所長などを引き受ける。
1939年、父親が死去してからは、ますます児童心理学に専念。
メラニー・クラインとの研究上の意見の相違からイギリスの精神分析学会で論争を引き起こす。
その間にも弟子(たとえば、エリク・エリクソンなど)を多数育て、
戦争が子ども達に与えた影響なども調査。
特に、幼児の防衛機制についての研究が名高い。
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【ジークムント・フロイト】(ドイツ:Sigmund Freud 1856年5月6日~1939年9月23日)
オーストリアの精神分析学者。オーストリアの白人系ユダヤ教徒アシュケナジーの家庭に生まれた。
神経病理学者を経て精神科医となり、神経症研究、自由連想法、無意識研究、
精神分析の創始を行い、さらに精神力動論を展開した。
非常に詳細で精密な観察眼を示す症例報告を多数残した。
それらは、現在においても次々と新しい角度から研究されている。
フロイトの提唱した数々の理論は、のちに彼の弟子たちによって
後世の精神医学や臨床心理学などの基礎となったのみならず、
20世以降の文学・芸術・人間理解に広く甚大な影響を与えた。
弟子たちは、フロイトの考え方のどこかしらを批判した上でこれを受け継ぎ、
様々な学派に分岐し、それぞれ独自の理論を展開していった。
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※【参考文献】
「カウンセリング大事典」2004 小林司/編 新曜社
「図説 現代心理学入門」三訂版2007 金城辰夫/監修 培風館
「自我と防衛」1985 A・フロイト/著 誠信書房
「自我と防衛機制」1998 アンナ・フロイト著作集 A・フロイト/著 岩崎学術出版社
「自我論 不安本能論」1970 S・フロイト著作集 S・フロイト/著 人文書院
「フロイト全集 第19巻」2010 S・フロイト/著 岩波書店
*1925-28年 否定、制止、症状、不安、素人分析の問題
「S・フロイト自我論集」1996 ジークムント・フロイト/著 筑摩書房