防衛機制の具体例

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防衛機制 (defense mechanisms)

防衛機制の具体例 (examples of defense mechanisms)

 

 

 

◇葛藤や欲求不満、不安、ストレスなどの感情的に嫌なことを減らしたり避けたりするために

心の中で無意識に働く、こころの安全装置を防衛機制という。

 

 

◇防衛機制は無意識のうちに実行されるから、本人がわざとそうしている訳ではないし、

この安全装置が現実を歪めてしまうのだが、当人はそのゆがみに気づかない。

 

 

 

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◇主な防衛機制には、抑圧、抑制、否定、投影、転嫁、置き換え、退行、代償、反動形成、同一化

など、各種の仕掛けが認められる。

防衛機制の大部分は精神分析の理論としてフロイトによって発見された。

 

 

 

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【主な防衛機制】(defense mechanisms)

 

 

【1】抑圧

・葛藤やストレスに関係していることだけを忘れるように働く。

忘れてしまえば嫌なことはなかったも同然になるからである。つまり「忘れたいから忘れる」のだ。

幼児期の性体験や大失敗を覚えていないのが抑圧の例である。

しかし、この忘れられた事柄は、決して消え去ったのではなくて、無意識という冷蔵庫の中に

冷凍保存されているにすぎないから、何かのきっかけに解凍されて意識の中で暴れ出すことも多い。

 

【2】抑制

・他の事を考えるようにして、嫌なことから目をそらすことを指す。

抑圧とは違って、嫌なことを一旦は意識するが、他に目を移すことによってそれを無視するのである。

はじめは多少とも意識的に行われるが、繰り返しによって習慣づけられて、

無意識に行われるようになる。

 

【3】否定

・ガンだと診断されたときに「自分がガンであるはずがない。誤診だろう」と思って、

他の医師を訪れる場合などの心理。

 

【4】投影

・自分の性格や動機を他のもののように感じることである。

ケチなひとが「あいつはケチだ」と他人をけなしやすいのがその例である。

もしも他人がケチでないとケチな自分はその他人を尊敬しなければならず、

それがストレスになるのでそれを避けるために「他人もケチだ」と思い込むのである。

自分が意地悪だと他人も自分に対して意地悪をするように感じる。

統合失調症の患者が「皆が自分の悪口を言う、意地悪をされる」というのは、

投影によって自分の嫌な性格(意地悪)をカバーしようとしているからである。

 

【5】転嫁

・自分の失敗を他人のせいにしようとすることである。

材木をうまく削ることができないと「カンナが悪い」と言うのがその例だ。

 

【6】置き換え

・対象を置き換える場合と、衝動を置き換える場合とがある。

ある人やものに対する感情を他の人やものに表現するのは、「対象置き換え」の例である。

会社の上司に腹を立てると、帰宅後、妻に八つ当たりするなどがその例だ。

愛妻を失った夫が、娘を溺愛するなども、しばしばみられる。

上司に怒りをぶつけるとクビになるかもしれないし、亡くなった妻を愛することはできないからである。

怒りや愛を表現しないでおくことが辛いので、どこかでそれを吐き出すのだ。

危険を避け、衝動を減らすことになる。

「衝動の置き換え」の場合には、対象を変えずに感情だけをすり替える。

性衝動を攻撃性にすり替えたり、その逆も起きやすい。

男児が好きな女児をいじめたりするのはその例である。

 

【7】退行

・欲求不満に陥ったとき、人生の一段若い段階へと逆戻りする現象である。

その方が安全で快適なのだ。

弟が生まれたときに、4歳の子どもが乳児返りをして急に赤ちゃん言葉をしゃべったり、

おねしょをして自分も弟なみに母にかわいがってもらおうとする。

失恋した人が昔の恋人に電話するのもその一つだ。

衝動退行は、衝動を別の衝動にすり替える。

怒りの衝動をヤケ食いの食衝動にすり替えるのがその例である。

 

【8】代償

・劣等感をもつと不安になるので、他の面で優れようとすることだ。

学業成績が悪い児童がスポーツに励むなど。

 

【9】反動形成

・本心では子どもを愛していないときに、溺愛の態度をとってしまうなどの場合である。

継母が義理の子どもに何でも買い与えるなど。

 

【10】同一化

・他人の性格を取り込むことである。

自信のない人が自分の上役がいばっているのを真似て、部下をいじめたりする。

 

 

 

 

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【アンナ・フロイト】(Anna Freud, 1895年12月3日~1982年10月9日)

 

精神分析の創始者・ジークムント・フロイトの娘で、イギリスの精神分析家。児童精神分析の開拓者。

ウィーン生まれ。ウィーンのコッタージ・リセウム(Cottage Lyceum)に学ぶ。

1914年にイギリスに渡り、戻って自分が学んだリセで教鞭をとる。

1918年、父から精神分析を学び、その道に入る。

最初の論文は、1922年発表。1923年から精神分析家としての実践を開始。

同年、父ジークムントが癌である事が判明、以来雑務に支障を来たすようになった父親に代わり、

国際精神分析学会の事務局長、ウィーン精神分析訓練研究所の所長などを引き受ける。

1939年、父親が死去してからは、ますます児童心理学に専念。

メラニー・クラインとの研究上の意見の相違からイギリスの精神分析学会で論争を引き起こす。

その間にも弟子(たとえば、エリク・エリクソンなど)を多数育て、

戦争が子ども達に与えた影響なども調査。

特に、幼児の防衛機制についての研究が名高い。

 

 

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【ジークムント・フロイト】(ドイツ:Sigmund Freud 1856年5月6日~1939年9月23日)

 

オーストリアの精神分析学者。オーストリアの白人系ユダヤ教徒アシュケナジーの家庭に生まれた。

神経病理学者を経て精神科医となり、神経症研究、自由連想法、無意識研究、

精神分析の創始を行い、さらに精神力動論を展開した。

非常に詳細で精密な観察眼を示す症例報告を多数残した。

それらは、現在においても次々と新しい角度から研究されている。

フロイトの提唱した数々の理論は、のちに彼の弟子たちによって

後世の精神医学や臨床心理学などの基礎となったのみならず、

20世以降の文学・芸術・人間理解に広く甚大な影響を与えた。

弟子たちは、フロイトの考え方のどこかしらを批判した上でこれを受け継ぎ、

様々な学派に分岐し、それぞれ独自の理論を展開していった。

 

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※【参考文献】

「カウンセリング大事典」2004 小林司/編 新曜社
「図説 現代心理学入門」三訂版2007 金城辰夫/監修 培風館 
「自我と防衛」1985 A・フロイト/著 誠信書房
「自我と防衛機制」1998 アンナ・フロイト著作集 A・フロイト/著 岩崎学術出版社
「自我論 不安本能論」1970 S・フロイト著作集 S・フロイト/著 人文書院
「フロイト全集 第19巻」2010 S・フロイト/著 岩波書店
*1925-28年 否定、制止、症状、不安、素人分析の問題

「S・フロイト自我論集」1996 ジークムント・フロイト/著 筑摩書房

このブログ記事について

このページは、sscが2010年8月12日 00:32に書いたブログ記事です。

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