マイクロ・カウンセリング

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マイクロカウンセリング  (micro counseling)

マイクロ・カウンセリングとは

 

 

 

◇アレン・アイビイ等によって開発されたカウンセラー養成のためのトレーニング・プログラム。

 

アレン・アイビイ等は、カウンセリングの数々の手法をいくつかに分類し、階層化。

初心者が段階を踏んで高度な技法を身につけられるようにするトレーニングシステムである、

マイクロカウンセリングを開発した。

 

マイクロ・カウンセリングは「マイクロ・カウンセリング/トレーニング」と称しているように、

カウンセリングの一理論を提供するのではなく、カウンセリングの諸理論のスキル(技法)を、

アイビイがいくつかに分けた指標(マイクロ技法と言う)に基づいて詳細に分析したものである。

諸理論の各技法はその指標によっていくつかの階層の中に位置づけられ、

各指標の活用程度に応じて諸理論の特質を分類することが可能になる。

 

その結果、カウンセリング諸理論を同一の土俵のもとで、より客観的に考察することが可能となる。

つまりマイクロ・カウンセリングはカウンセリング面接をより実効あるものにするための

理論体系であり、トレーニングの体系であるということが言うことができる。

 

こうした体系の基礎にあるアイビイの考えは「意図的面接(インタビュー)」への志向である。

アイビイは「マイクロカウンセリング」(1985)の中で意図的面接について次のように述べている。

 

「意図的面接では、ひとつの応答だけが正しいのではなく、

いかに数多くの応答が援助の可能性を持っているかということに注目する。

意図性こそが、効果的な面接を行う際の中心的なゴール」なのである。

「意図性」とは、いつどんな場面でどのような応答がより効果的であるのかについての

自覚的なカウンセリングを目標とするということである。

 

また、この体系に沿って学習することが有能なカウンセラーの養成にとって不可欠であると主張する。

 

 

 

 

※「マイクロ」という言葉は、「微少」というだけでなく、一つ一つ小単位ごと(一技法ごと)着実に、

綿密に、順次認識して学習していくという意味をこめて命名しています。

 

 

 

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◇さて、この指標をアイビイは、「マイクロ技法(microskills)」と呼び、

「面接の時のコミュニケーションの技法の単位」と定義している。

 

マイクロ技法階層表によれば、「マイクロ技法」は、

 

「基本的なかかわり技法(かかわり行動)・(開かれた質問、閉ざされた質問)・

(クライエント 観察技法)・(はげまし)・(いいかえ)・(要約)・(感情の反映)・(意味の反映)」

*5段階の面接構造

*対決と発達状態の査定 

 

→ 「焦点の当て方」→「積極技法(指示)・(論理的帰結)・(解釈)・(自己開示)・(助言)・

(情報提供)・(説明)・(教示)・(フィードバック)・(カウンセラーの発言要約)」

 

→ 「対決(矛盾)・(不一致)」

 

→ 「技法の連鎖および面接の構造化」

 

→ 「技法の統合」

*独自のスタイルと理論

 

 

 

以上の順で階層の高位に位置し、最上位の「技法の統合」の段階では、

面接に対するカウンセラー自身の概念と目標を作りだすことが可能になるという。

また、マイクロ技法は、クライエントとカウンセラー間のコミュニケーションの基本的な要素の分類にも

有用であるとされている。

 

例えば、「感情の反映」技法はロジャース派のカウンセリングでは、

最も重要視されるものであるのに対し、行動療法では、ほとんど用いられない。

精神分析や特性因子理論ではある程度用いられる。

また、「解釈」技法はは、ロジャース派ではほとんど用いられないが、

「精神分析」や「ゲシュタルト療法」では多用されている。

 

このようにカウンセリング・心理療法各派の技法はさまざまであるが、それらをマイクロ技法によって

分類することで、各理論の特質を明確にし、意図的な面接を実現することができるという。

また、カウンセラーのトレーニングにおいても上記の目標を明確にし、

被訓練者にカウンセリング・心理療法についての客観的な知見と目標を与えうると主張する。 

 

 

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 ◇マイクロ・カウンセリングは専門的なカウンセラー養成のためのプログラムであるとともに

さまざまな場所、状況における人間関係の改善や、

コミュニケーションの促進にとってもまた有用であるとアイビイは主張する。

たとえば、ビジネスやマネージメント、警察官の被害者に対する事情聴取において、

またソーシャルワーカーや看護師、医師が明確な診断を行なう時にも活用される。

 

さらに、異文化に共通して用いられる技法は何かといった、

文化人類学的な視点の構築にも寄与するところがある。

たとえば、「かかわり技法」「積極技法」は、どんな文化においても用いられているし、

マイクロ技法は、コミュニケーションにおける文化の差異を分析したり、

理解したりするのに有力な手段となるのである。

 

もし、マイクロ技法を意識し、意図的に用いるようになれば伝統的な文化を越えて、

お互いの意志伝達を促進することが可能になるという。

 

 

 

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【アレン・アイビイ】( 1933年~ )

 

1933年、米国ワシントン州に生まれる。

スタンフォード大学で心理学を専攻し優等で卒業後ハーバード大学で

教育学博士の学位を取得(カウセリング・ガイダンス専攻)。

コロラド州立大学カウンセリングセンター長兼準教授を経て

1988年現在マサチューセッツ大学カウセリング心理学教授。

 

長年の研究成果をもとに、マイクロカウンセリングの理論と実際を築き提唱し、

国内外において、その普及につとめる。

その体験からも文化的視点からも、ものごとを眺める姿勢を持ち続けている。

Microtraining Associates を設立し現会長。出版物は著書25冊、論文約130編。

 

 

 

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※【参考文献】

「カウンセリング大事典」2004 小林司/編 新曜社
「マイクロカウンセリングの理論と実際」2004 アレン・アイビイ/著 風間書房 
「マイクロカウンセリング技法」2007 アレン・E・アイビイ/著 風間書房 

 

 

 

このブログ記事について

このページは、sscが2010年8月14日 00:20に書いたブログ記事です。

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