昇華

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昇華(sublimation)|防衛機制 

 

防衛機制 (defense mechanisms)

 

 

 

【昇華】

 ・性や攻撃性など社会的に認められない衝動を芸術活動やスポーツなどの、

より社会的・道徳的に価値あるものに置き換えること。自我が自分を守るための手段の一つ。 

 

 

 

◇昇華の概念は、アンナ・フロイトや、

フェニケル(Otto.Fenichel  1898~1946)などにより明確化された。

 

アンナ・フロイトは、「自我と防衛」(1937)で、「昇華は衝動に対する自我の防衛であり、

衝動による脅威からおきる不安や超自我(良心)のとがめが生じる不安からの防衛の手段である」

としている。

 

精神発達との関連では、社会的価値の理解を前提とし、

超自我がなければ昇華が成立しないことから、一般に3~5歳に抑圧とともに昇華が学習され、

6~12歳の学童期に昇華は主役となり、勉強やスポーツに熱中し、

特に思春期には芸術上にも創造的な活動がみられるとしている。

 

 

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◇ フェニケル(Otto.Fenichel  1898~1946)は、葛藤に対する不安を防衛したかどうかによって、

昇華を成功的防衛(successful  defense)と、不成功的防衛(unsuccessful  defense)とに分けた。

 

前者が衝動を直接に満足させる代わりに、対象を間接的なものに置き換えて、

社会に適応した形で満足できるので、衝動のエネルギーが解き放されて、

葛藤は適切に解決され、衝動のエネルギーを生産的で有用なエネルギーとして活用できる。

 

一方、防衛に成功しないと衝動は抑圧などによって無意識の中に閉じ込められ、

この抑圧のために精神的エネルギーや回避するエネルギーを消費してしまうので、

最終的に神経症の形を示す、とフェニケルは考えた。

 

 

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 ◇「昇華」は、スポーツ、芸術活動などによる満足とともに葛藤を自ら解決した満足感で満たされる。

また、昇華の能力は個人による格差が大きく、衝動の強さ、資質の差、教育の差、

柔軟性などによって異なる。

 

最低限の衝動の解放ができない場合は神経症状態に陥ることから、

個人の昇華能力の大小は、その人の健康のバロメーターでもある。

 

昇華の働きは、人類が他の動物と異なった文化を創造する上で重要な働きをしている。

 

 

 

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【アンナ・フロイト】(Anna Freud 1895年12月3日~1982年10月9日)

 

精神分析の創始者・ジークムント・フロイトの娘で、イギリスの精神分析家。児童精神分析の開拓者。

ウィーン生まれ。ウィーンのコッタージ・リセウム(Cottage Lyceum)に学ぶ。

1914年にイギリスに渡り、戻って自分が学んだリセで教鞭をとる。

1918年、父から精神分析を学び、その道に入る。

最初の論文は、1922年発表。1923年から精神分析家としての実践を開始。

同年、父ジークムントが癌である事が判明、以来雑務に支障を来たすようになった父親に代わり、

国際精神分析学会の事務局長、ウィーン精神分析訓練研究所の所長などを引き受ける。

1939年、父親が死去してからは、ますます児童心理学に専念。

メラニー・クラインとの研究上の意見の相違からイギリスの精神分析学会で論争を引き起こす。

その間にも弟子(たとえば、エリク・エリクソンなど)を多数育て、

戦争が子ども達に与えた影響なども調査。

特に、幼児の防衛機制についての研究が名高い。

 

 

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【ジークムント・フロイト】(ドイツ:Sigmund Freud 1856年5月6日~1939年9月23日)

 

オーストリアの精神分析学者。オーストリアの白人系ユダヤ教徒アシュケナジーの家庭に生まれた。

神経病理学者を経て精神科医となり、神経症研究、自由連想法、無意識研究、

精神分析の創始を行い、さらに精神力動論を展開した。

非常に詳細で精密な観察眼を示す症例報告を多数残した。

それらは、現在においても次々と新しい角度から研究されている。

フロイトの提唱した数々の理論は、のちに彼の弟子たちによって

後世の精神医学や臨床心理学などの基礎となったのみならず、

20世以降の文学・芸術・人間理解に広く甚大な影響を与えた。

弟子たちは、フロイトの考え方のどこかしらを批判した上でこれを受け継ぎ、

様々な学派に分岐し、それぞれ独自の理論を展開していった。

 

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※【参考文献】

「カウンセリング大事典」2004 小林司/編 新曜社
「図説 現代心理学入門」三訂版2007 金城辰夫/監修 培風館 
「自我と防衛」1985 A・フロイト/著 誠信書房
「自我と防衛機制」1998 アンナ・フロイト著作集 A・フロイト/著 岩崎学術出版社
「自我論 不安本能論」1970 S・フロイト著作集 S・フロイト/著 人文書院
「フロイト全集 第19巻」2010 S・フロイト/著 岩波書店
*1925-28年 否定、制止、症状、不安、素人分析の問題

「S・フロイト自我論集」1996 ジークムント・フロイト/著 筑摩書房

このブログ記事について

このページは、sscが2010年10月12日 00:25に書いたブログ記事です。

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