【論理療法の考え方】
アルバート・エリスが創始した心理療法で、ABCDE理論を基本的な背景としています。
ABCDE理論とは、人間の行動は・・・
Activating event(きっかけとなる出来事)
↓
Belief(思い込み・考え方・受け止め方)
↓
Consequence(結果;感情などの反応)によってもたらされる。
↓
Dispute(Belief に対する反論)を加えることにより、
↓
Effect(効果;Consequence の変化)がもたらされる。
論理療法では、心理的な困難(問題)がある場合、その原因がB( Belief)にあるとし、
非合理的な思い込み(イラシャナル・ビリーフ)を合理的な思考(ラシャナル・ビリーフ)に
修正することを目的としています。
【具体的なアプローチ】
過度なイラシャナル・ビリーフがある場合には、その非合理性をクライアントが認識し、
合理的なビリーフに変えていきます。
例:うつの人が「常に成功していなければならない」というイラシャナル・ビリーフを
持っていたとしたら、それを、例えば「失敗から学ぶ」ことや「失敗してもすばらしい人」などを
思い出すことによって、「一度も失敗しないなんてことはあり得ない。
失敗から学ぶこともできるし、やりなおすこともできる」といった、
ラシャナル・ビリーフに変えていくことによって、状況からの回復を図る方法。
1:イラショナルビリーフは、非論理的で筋が通っていません・・・最悪だ!
2:イラショナルビリーフは事実(現実)と一致しません・・・もし(予測)など
3:イラショナルビリーフは独断的で教条的なものです・・・「~をしなければならない。~をできない!」
論理療法「アルバート・エリス」による「健康な人間の条件」
論理療法哲学:論理療法における「明確な価値」 ~論理療法の基本的重要点~
●自己重視
健全な精神の持ち主は、他者よりも自分を大切にする傾向がある。
健全な精神の持ち主は大事な人のためなら、自分をある程度犠牲にしても、
すべてを犠牲にすることはない。
●共同体感覚
多くの人が集団の一員となるのは、快適で幸せに生きたいからだ。
そしてその集団のルールに重んずるのは、他人の権利を守り、
しかも社会の一員として生き抜こうとしたいからである。健康な人々は、道徳的行動を大切にする。
●自己管理
人は他者と協力して生きている。しかし、他者からの支持や援助を必要以上に要求するよりは、
自分の人生で責任をとる、という姿勢で生きる方がいい。
●寛容
人は間違いを犯す権利があることを認める。わざと嫌がることをするのは、よいこととはいえない。
しかし、そういう人を必ずしも非難する必要もない。
健康な人々は、人は誤りやすい存在であることを知っている。そして、それを許そうとする。
●柔軟性
健全な人は柔軟な考え方をする。
例外を一切認めないような規則に縛られていると、幸福感はほとんど得られなくなるものだ。
●不確かさの受容
私たちの住んでいる世界は、偶然に支配されている。
そう考えれば、100%確実なものなど存在しないから、健全な人であれば、
予想が確実に当たると要求したりはしない。
健康な人々は、私たちが住んでいる世界は、高い確率とチャンスがあることを理解している。
したがって、決して絶対的に確定したものがあるのではないことを知っている。
●コミットメント
知性と教養のある人ほど、日常生活とあまり関係のないことにのめり込んでいる時に
幸せを感じたりするものだ。
少なくとも、幸せな毎日を送るには、クリエイティブな関心や親密な人間関係をもつことが大事だ。
健康な人々は、自分以外の何かに心底夢中になっているとき、幸せになっていると実感できる。
●自己受容
健全な人は、自分を何かのものさしで測ったり、
ランク付けしたり、正しいかどうかを確認したりしないで、
どんな時でも無条件で自分を受け入れられる。
健康な人々は、無条件に受容する。
自分自身を他者と比べ、ランクづけ、さらにそれを証明しようとしない。
●冒険心
健全な人なら、無茶しない程度に思い切った行動をとり、冒険することができる。
●現実感覚
人はほしいと思ったもの全てを手に入れることはできないし辛いこと全てを回避することはできない
だから、実現できそうな物や、実際にはあり得ない完璧さを求めて、時間を無駄にすべきではない。
望むものを何でも手に入れたり、いやなことを全て避けるのは非現実的である。
健康な人々は、全く達成できない目標や全く非現実的なものを、
一生懸命追い求めて時間を費やすようなことはしない。
●高い欲求不満耐性
人が人生で直面する問題は、2種類しかない。自分の手に負えるものとそうでないものである。
したがって、最悪の状況でも自分の力でなんとできそうなら軌道修正してみるし、
どうにも出来なければ耐えなければならない。
つまり、人生の目標は、そういった状況の受け止め方を身に付けることともいえる。
健康な人々は自分で何とかできる問題と自分で変えられない問題とを識別している。
(ラインホルト・ニーバー)
●自己責任
健全な人は、自分がみじめな状態にいても、それを他人や世の中や運命のせいにはしない。
考え方や感情、そして行動に対する自己責任をしっかりと受け止める。
健康な人々は、自分の思考・感情・行動に対してそれ相応の責任をとる。
●自己指向
健康な人々は、他者と協力するのは望ましいが、自己決定がそれよりも意味があると確信する。
★論理療法の理念:2つの価値は、「生き抜くこと」「楽しむこと」
★論理療法の目標:できるだけ悩みを減らし、できるだけ長生きをし、
生活の中でもたくさんの喜びを感じられるようにすること。
これらの価値は「責任ある楽観主義」という言葉で表わされることもある。
※参考文献:「論理療法の哲学」
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【アルバート・エリス】 Ellis,Albert (1913年9月27日~2007年7月24日)
・アメリカの心理学者。
論理療法の創始者であり、ニューヨーク市で論理療法研究所を主宰。
エリスの理論では、人間の認知・感情・行動は互いに影響し合っており、
論理療法は、この3つの側面を統合的にとらえるという特徴をもつとしている。
・論理療法では、クライエントの非現実的な信念や思考過程の修正を求め、
新しいシェマを通じて環境と関わることを目指す。
エリスは結婚、家族、性の問題についての治療、研究を積極的に行っている。
※【参考文献】
「論理療法入門」1998 ウィンディ・ドライデン/著 川島書店
「実践論理療法入門」1997 ウィンディ・ドライデン レイモンド・デジサッピ/著 岩崎学術出版
「論理療法」1981 アルバート・エリス R・A・ハーバー/著 川島書店
「自分をみじめにしないためには」1996 アルバート・エリス/著 川島書店
「自己変革の心理学」1990 伊東順康/著 講談社現代新書
「自己発見の心理学」1991 国文康孝/著 講談社現代新書