リカレント教育

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リカレント教育


スウェーデンの経済学者であるレーンが初めに提唱し、

1970年代に経済協力開発機構(OECD)で取り上げられ、

国際的に知られるようになった生涯教育構想。

義務教育や基礎教育を終えて労働に従事する職業人になってからも、

個人が必要とすれば教育機関に戻って学ぶことができる教育システムを指します。

 


リカレント(recurrent)は、

反復、循環、回帰を意味する言葉であり、

日本では回帰教育や循環教育と訳されることもあります。

急速に変化する社会に適応していくためには、

教育は人生の初期だけで終わりではなく、

生涯にわたり続けていくことが重要であり、

必要に応じて個人が就労と交互に行うことが望ましいと提言しています。

 

 

【欧米】


近年世界的に注目を集めているリカレント教育ですが、

実際の取り組み状況は各国によって異なります。

特に欧米と日本では、社会的慣行の影響もあり、状況の差異は大きくなっています。

 

欧米は、本来のリカレント教育の概念に近い取り組みが進んでいます。

もともと欧米の労働市場は流動性が高く、

キャリアアップのために社会人になってから

教育機関で学習するシステムを取り入れやすい状況にありました。

 

欧米のリカレント教育は、仕事をし始めてからも、

学習機会が必要となった場合は、

比較的長期間にわたって正規の学生として就学することを推奨しています。

個人の職業技術や知識を向上するために、

フルタイムの就学とフルタイムの就労を交互に繰り返すことができます。

 

リカレント教育の取り組みの具体例としては、ス

ウェーデン、フランス、イタリア、ベルギーなどの有給教育制度、

アメリカのコミュニティカレッジなどが挙げられます。

 


【日本】


一方日本では、高度経済成長期を経て社会的に長期雇用の慣行があるため、

社会人になってから教育機関にもう一度戻って学習するというというシステムは

馴染みにくい状況となっています。

仕事に必要な技術や知識は、キャリアを中断して外部で学ぶのではなく、

就職した企業内で習得していくのが通例です。

 

日本においても、転職でのキャリアアップを目指す人が増加するなど働き方が多様化しており、

キャリアアップに必要なスキルを身につける方法として

リカレント教育が注目されています。

 

しかし、本来のリカレント教育の概念のように正

規の学生としてキャリアを中断して就学することは難しい現状があります。

そのため、日本ではリカレント教育の概念が諸外国よりも広義に解釈されており、

企業で働きながら学んだり、仕事でなく生きがいのために学んだり、

学校以外の場で学んだりする場合も含む言葉として使われています。

 

日本におけるリカレント教育の取り組みの具体例としては、

大学の社会人入学制度、社会人特別選抜制度、科目等履修生制度、

夜間部・昼夜開講制度、通信教育、公開講座、専門職大学院、

サテライトキャンパスなどが挙げられます。

 

高等学校や専門学校、高等専門学校でも、

公開講座という形でリカレント教育の取り組みを行なっている学校もあります。

 


◆長期雇用が慣行となっている日本でも、

近年はリカレント教育の重要性が認知され始めています。

 

背景としては、転職でのキャリアアップや女性の社会進出の増加によって、

職業技術や知識を外部の教育機関で学習したいというニーズが出てきたことが考えられます。

 

男性中心の長期雇用が前提であれば、

企業内教育のみに依存していても、

働いていく中で自然と仕事上必要な知識や技術が身についていきました。

 

しかし、転職を前提とし、短期間で企業を変えていったり、

女性が産休育休を挟んでキャリアを積んでいったりするのであれば、

企業内教育で継続的に仕事上必要な技術や知識を身につけることは難しくなります。

自分のキャリアパスに合わせて、自ら学習機会を作ることが求められます。

 


◆このように企業内教育の穴を埋め、学習ニーズを満たすシステムとして、

リカレント教育は注目されています。

ただ、実際に日本でリカレント教育を実践していくためには

多くの課題を解決する必要があります。

 

例えば、日本におけるリカレント教育に関する公的な補助や支援制度、

関係機関の連携は未発達な部分が多い上に情報も少なく、

労働を中断して教育に参加することが難しい現状があります。

 

欧米のような有給教育制度がある企業は、

日本ではまだ多くはありません。

 

リカレント教育の機会が得られたとしても、

教育費用が増大した場合の行政からの支援や給付金が少なく、

学習者の負担が大きくなるリスクも懸念されます。

そして、社会人が受講できる教育機関や生涯学習関連機関、

カリキュラムも未だ不十分と言えます。

 

キャリアアップとしてリカレント教育のシステムを活用することは、

日本の一般的な社会人にとってはハードルが高い状況となっています。

現在、文部科学省や地方自治体では、

生涯学習審議会や生涯学習センターなどを設置し、

「生涯学習社会」の実現に向けて動いている流れがあります。

 

今後社会人が学びやすい環境が整備されていくのか注目されます。

 

 


◆リカレント教育とは、1970年代から国際的に知られるようになった生涯教育構想である。

急速に変化する社会に適応するために、

義務教育が終わり社会に出てからも、個人が就学と就労を交互に行いながら、

仕事に必要な知識や技術を学び続けることが望ましいと提唱している。

 

•労働市場が流動的な欧米では、リカレント教育の取り組みは進展している。

リカレント教育の本来の意味通り、

個人が仕事に必要な知識や技術を取得するために、

フルタイムの就学とフルタイムの就労を繰り返すことができる環境が整備されつつある。


•一方日本では、働き方が多様化する中でリカレント教育の有用性は認知されつつあるものの、

長期雇用の慣行があるため、環境の整備は未熟である。現

状は、働きながら学んだり、生きがいのために学んだりできる社会人大学院や通信教育が、

学習活動の場として活発に活用されている。

 

 

 

 

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このページは、sscが2018年4月30日 17:31に書いたブログ記事です。

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