心理学: 2017年4月アーカイブ

境界性パーソナリティ障害

(Borderline Personality Disorder:BPD)は、


対人関係や自己に対するイメージなどの広い範囲において、

激しく考え方や感情が変化していく特性がある障害。

 

境界性パーソナリティ障害の多くは、

思春期から青年期・成人早期に起こる感情と行動の失調状態です。

時間はかかりますが適切な治療を行うことによって

自分自身を取り戻していくことができるといわれています。

現在さまざまなパーソナリティ障害が確認されており、

境界性パーソナリティ障害はその中の一つとして存在しています。

 

パーソナリティ障害とは、思考、感情、人とのかかわり方、衝動の制御の、

4つのうちの少なくとも2つにおいて、柔軟性がない状態をいいます。

このようなパーソナリティ障害がある人は、

考え方や行動パターンに著しい偏りがあるため他者と摩擦が生じ、

日常生活や仕事・学校の場面でトラブルをおこしてしまうことがあります。

 

境界性パーソナリティ障害は、


他人から見捨てられてしまうのでないかという不安と、

自分が何者でどう振る舞えば良いのか分からない,

自己イメージの不安定さが、トラブルの背景にあるといわれています。



境界性という名前は、"強いイライラ感"が症状として現れる神経症と、

"現実が冷静に認識できない"認知障害をもつ統合失調症、

2つの精神疾患の境界にあると、かつて考えられていたことに由来し命名されています。

現代社会の中では境界線がはっきりしないことは数多く存在しています。

例えば自分と他人との境界や男と女の境界、

子どもと大人との境界など、あらゆるボーダーラインがあります。

境界性パーソナリティ障害がある方はその境界が分かりにくく、

社会にうまく適応できないという生きづらさを抱えています。

境界性パーソナリティ障害を発症している方々の中での男女割合は女性が75%と多く、

主に女性が発症しやすい傾向があることが分かっています。

 

 ※出典:日本精神医学会/監修

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル第5版』(医学書院,2014)

※参考文献:岡田尊司/著『境界性パーソナリティ障害』(幻冬舎新書,2009)

 

 

 

 

 【境界性パーソナリティ障害の主な特性】

 

境界性パーソナリティ障害の主な特性として代表的なものは、

自己イメージの混乱と見捨てられるかもしれないという強迫観念があることです。

この3つの特性からくる不安と恐怖の感情がもととなり、さまざまな症状に発展していきます。

 

■ 自己イメージの混乱

境界性パーソナリティ障害がある人は、

「自分がどんな人か分からない...」というように自己イメージがはっきりしない状態であるため、

他人の影響を受けやすかったり、他人と自分を区別できなかったりすることがあります。

 

自己イメージは自己同一性(アイデンティティ)とも言われ、

自分・他人から見ても一貫している自己を持っていることをいいます。

自己イメージが安定していると、自分が社会にとって意味があり、

自分の中に生きているという実感が生まれます。

それによって過剰に不安になることや人に流されることが減ってきます。

 

しかし境界性パーソナリティ障害がある人は自己イメージが混乱しているため、

例えば一面的な評価を自分の全人格に対する評価として、

過剰に受け取ってしまうことが多くなります。

その度にひどく落ち込んでしまったり、同じ人からの評価にも関わらず、

褒められたときはその人のことを好意的に思う一方で、

問題などを軽く指摘されただけでその人に敵意を示し激しい怒りを感じたりします。

 

 

このような対人関係を続けることで過度なストレスを感じるようになり、

混乱や落ち込んだ状態が慢性化し、

さらに自分を見失うという悪循環に陥ってしまいます。

 

 

■ 見捨てられ不安

境界性パーソナリティ障害がある人は、

自身が信頼をおいている相手に依存する特性がみられます。

常に根底には自分が見捨てられてしまうのではないかという、

「見捨てられ不安」というものを感じています。

 

幼い頃に両親の離婚によって家族や愛着のある場所などから離れることに、

強い不安を抱いたり、

虐待などにより愛情を失う体験をしたことが背景になっている場合もあります。

 

「また同じ思いはしたくない」という潜在的な意識によって見捨てられ不安は招かれ、

信頼できる相手に対して疑い、見捨てられるのではないかという不安を抱いています。

 

その見捨てられ不安から例えばメールを送ってもすぐに返ってこなかったり、

自分が期待している反応が返ってこなかったりする場合、

「嫌われたのではないか?」、「見放されたのではないか?」と、

強い恐怖を感じ相手から離れまいとしがみつこうします。

 

そして見捨てられ不安から逃れたり、

相手の興味を自分に引きつけたりするためにギャンブルや過食、

過量の飲酒・服薬、自傷行為や自殺をほのめかす行動を起こしてしまうのです。

 

 

■ 感情のコントロールができない

境界性パーソナリティ障害がある人は、

自己イメージの混乱や見捨てられることに不安や恐怖を常に感じていることから、

感情の波が激しく変動し、自分でコントロールすることができなくなります。

 

激しい怒りやひどい落ち込みや空虚感を感じることから、

それを解消しようと暴力や暴言を吐いたり、

リストカットなどの自傷行為や大量の薬物摂取、

大量の飲酒、過食などに走りやすくなります。

 

これらを繰り返すことで日常化していくと、

薬物依存やアルコール依存などに発展していくこともあります。

さらに強いストレスにさらされ続けると一時的な記憶喪失になる、

解離性症状が表出する場合もあります。

 

 

 

 ※出典:日本精神医学会/監修

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル第5版』(医学書院,2014)

※参考文献:岡田尊司/著『境界性パーソナリティ障害』(幻冬舎新書,2009)

 

 

 

 

 【境界性パーソナリティ障害が発症する原因ときっかけ】

 

 境界性パーソナリティ障害の原因はさまざまな説があり、定まっていません。

原因は本人の生物学的な気質要因と環境的要因の相互作用によって生じるという、

考え方が有力です。

 

■ 生物学的気質要因

脳の機能の中には衝動を抑えたり、怒りや不安をコントロールしたり、

ストレスに対する感情をコントロールしたりする部位があります。

境界性パーソナリティ障害がある人は、

何らかの原因によってそれらの部位に特徴があるために、

衝動性、怒り、不安、ストレスなどを感じやすくなっているのだと考えられています。

 

・前頭前皮質:行動をコントロールし、合理的判断に関係する部位です。

なんらかのストレスによりこの部分の活動が低下すると、

扁桃体の活動を抑えることができず、

感情や行動をコントロールできなくなると考えられています。

 

・扁桃体(へんとうたい):怒りや不安といった感情をつかさどっている部位です。

境界性パーソナリティ障害がある人は扁桃体が平均より小さいという研究があります。

扁桃体の特定の部位が、感情的な刺激に対して過剰に反応するという研究があります。

 

・視床下部/下垂体:ストレスに対する反応に関係する部位です。

ちょっとしたトラブルにもイライラや落ち込みを感じる人とあまり動じない人がいますが、

それはこの部位の反応の個人差が一因と考えられています。

境界性パーソナリティ障害がある人は過剰にストレスを感じ、

精神的なショックを受けて落ち込んでしまったり、

心が傷ついたりするのは、この部位に関連があると考えられます。

 

・セロトニン系:脳内にある神経細胞間の神経細胞伝達物質のひとつです。

セロトニンがうまくはたらかないと、不安やうつの気分が強くなったり、

衝動性が抑えられなかったりすることがわかっています。

 

 

■ 環境的要因

環境的要因には養育環境が大きく関係しているという説があります。

過去に心的外傷体験(心が傷ついた体験)や、

不認証体験(自分を認めてもらえなかった体験)があり、

数年後に似たような体験が再現されることによって、

境界性パーソナリティ障害の症状が表出するということがあります。

 

心的外傷体験や不認証体験とは、

極端な例だと親が子どもに対する虐待やネグレクト(育児放棄)などが挙げられます。

または親の離婚や死別によるショックなどもあります。

これはあくまで極端な例ですが、

他にも、子どもへの愛情不足や褒める・認めるといった共感の不足、

過保護や過干渉によるストレスなども子どもにとっては負担になっていることがあります。

 

そのような体験がベースにあり、

ちょっとした友人関係や恋人関係の出来事がきっかけで、

見捨てられ不安などの症状が発生します。

 

 

 

 

 

※参考文献

林直樹/監修『よくわかる境界性パーソナリティ障害』|(主婦の友社,2011)  

※参考文献

岡田尊司/著『境界性パーソナリティ障害』|(幻冬舎新書,2009) 

 

 

 

 

【境界性パーソナリティ障害の診断基準 】

 

 

診断基準は医療機関によって異なりますが、

主に世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)や、

アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)に基づいて

臨床的に診断が下されます。

 

ここでは『DSM-5』による診断基準を説明していきます。

『DSM-5』では以下から5項目以上が認められれば、

境界性パーソナリティ障害である可能性が高いという基準になっています。

 

 

対人関係、自己像、感情などの不安定性及び著しい衝動性の広範な様式で、

成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる、

以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。

 

(1) 現実に、または想像の中で、

見捨てられることを避けようとするなりふり構わない努力

(注:基準5で取り上げられる自殺行為または、自傷行為は含めないこと)


(2) 理想化とこき下ろしとの両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる、

不安定で激しい対人関係の様式


(3) 同一性の混乱:著明で持続的に不安定な自己像または自己意識

(4) 自己を傷つける可能性のある衝動性で、

少なくとも2つの領域にわたるもの(例:浪費、性行為、物質乱用、無謀な運転、過食)

(注:基準5で取り上げられる自殺行為または自傷行為は含めないこと)


(5) 自殺の行動、そぶり、脅し、または自傷行為の繰り返し


(6) 顕著な気分反応性による感情の不安定性

(例:通常は2~3時間持続し、2~3日以上持続することはまれな、

エピソード的に起こる強い不快気分、いらただしさ、または不安)


(7) 慢性的な空虚感


(8) 不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難

(例:しばしばかんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合いのけんかを繰り返す)


(9) 一過性のストレス関連性の妄想様観念または重篤な解離症状

 

 

 

※参考文献

日本精神医学会/監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル第5版』

(医学書院,2014)p.654より引用

 

 

 

 

【境界性パーソナリティ障害と併発する合併症】

 

境界性パーソナリティ障害はその障害の特性上、

うつ病などと合併しやすく、発達障害などと併発している場合もあります。

また境界性パーソナリティ障害と似ている、

自己愛性パーソナリティ障害についても紹介していきます。

 

■うつ病などと合併することがある

境界性パーソナリティ障害がある人がうつ病を経験する割合は、

90%に近いという報告もあるくらい、最も合併することが多い病気です。

 

うつ病は抑うつ気分が続き、

何もやる気がしなかったり、すべて自分が悪いと責めてしまい、

死にたい気持ちになったりする症状があります。

境界性パーソナリティ障害の症状と共通点も多く、

対人関係のトラブルが頻繁に起こることで抑うつな感情をもたらします。

 

境界性パーソナリティ障害とうつ病が合併すると、

自己破壊への衝動が増し、死にたい気持ち(希死念慮)が増すと言われています。

自己破壊的な行為はたとえば、

過剰な自己非難や絶望感から自傷行為を行ったり自殺を考えたりすることです。

 

またうつ病に限らず、

境界性パーソナリティ障害の自己破壊的行動への衝動が高まることによって、

アルコール依存症、薬物依存症や気分障害、

不安障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、

パニック障害などを引き起こすこともあります。

 

■ADHDとの合併の可能性がある

境界性パーソナリティ障害がある人は、

ADHDを小児期または同時に発症している可能性があると、

近年の研究によりいわれるようになりました。

 

イギリスのある研究では、

境界性パーソナリティ障害がある人でADHDの発症率は

小児41.5%、成人16.1%と高いことが分かりました。

 

境界性パーソナリティ障害の発症は、

必要な親からの共感が得られなかったことが原因の一つではないかという仮説があります。

 

ADHDがある人は、その特性から、

社会関係や対人コミュニケーションに困難さが生じる場合があるほか、

親が育てづらさを感じて親子の関係がうまくいかなかったり、

体の感覚が過敏で子どもがだっこを嫌がったりして、

必要なコミュニケーションをとる機会を持ちにくかったりする場合があります。

 

こうした、親子や対人関係上の困難さが積み重なることによって、

子どもが十分に共感を受け取ったと感じられないなどが原因で、

境界性パーソナリティ障害へと発展することもあり得ます。

 

また発達障害の中には境界性パーソナリティ障害と似た症状が現れるものもあるため、

臨床現場では障害同士の鑑別が難しいとも言われています。

 

■自己愛性パーソナリティ障害との合併が混在することがある

自己愛性パーソナリティ障害とは、

自分に対して誇大なイメージを抱き、注目や称賛を求める一方で、

他者からのマイナスな評価に対して過敏に傷つきやすく、

他者に対する共感性の薄さが特徴的な障害です。

 

境界性パーソナリティ障害は、

自己中心的で対人関係の問題から情緒不安定をまねくことなどから、

自己愛性パーソナリティ障害と共通点が多くあります。

また原因も自己愛の未成熟が関わってくることから、

診療の現場では、この2つの障害の区別は難しいとされています。

 

この2つの障害の違いはどこにあるのでしょうか。

境界性パーソナリティ障害が自己否定を繰り返し、

考え続けることで情緒不安定が生じる傾向にあります。

 

それに対して自己愛性パーソナリティ障害は、

理想と現実のギャップを受け止められず、

自己防衛のために誇大化した言動を繰り返し、

自信があるようにうかがえるという点に特徴があります。

 

そもそもパーソナリティ障害はそれぞれ独立して存在するのではなく、

重複している共通の症状があるため、

複数のパーソナリティ障害が併存しやすくなっています。

そのため、境界性パーソナリティ障害に限らず、

他のパーソナリティ障害が合併していることがあったり、

判断が難しかったりする場合があります。

 

 

 

※参考文献:林直樹/監修『よくわかる境界性パーソナリティ障害』(主婦の友社,2011)

 

 

 

 

パーソナリティ障害の診断は難しいものです。

もしご自身やご家族に境界性パーソナリティ障害の疑いを感じた場合は、

一人で悩む前にまずは専門機関に相談することをおすすめします。

 

医療機関での受診先は精神科、心療内科などになります。

 

「もしかして境界性パーソナリティ障害かも・・・?

でも、医療機関を受けるほどのことでもないような気がする・・・」

そのような場合は、各都道府県や政令指定都市に設置されている

精神保健福祉センター、

または各市区町村に設置されている保健所・保健センターの相談窓口へ相談してみてください。

もちろん、本人だけではなく家族が電話などで相談することもできます。

 

また、本人が会社勤めの場合や高校や大学に通っている場合、

学校や企業専属のカウンセラーに相談することもおすすめです。

企業や学校のカウンセラーは、

その人が所属している組織の内情にも通じているため、

より適切なアドバイスをもらうことができる可能性が高いです。

また、連携している医療機関を紹介してもらえる場合もあります。

 

 

 

 

 

【境界性パーソナリティ障害の治療】

 

境界性パーソナリティ障害の治療法は、主に精神療法と薬物療法があります。

 

■ 精神療法

精神療法は即効性はありませんが、

医師や専門家と一緒に本人の物事に対する考え方や感じ方などを、

見直していく治療法になります。

これから紹介するのは、

境界性パーソナリティ障害に有効といわれている精神療法の2つの代表例です。

 

■認知行動療法(CBT)

認知行動療法とは、何か困ったことにぶつかったときに、

本来持っていた心の力を取り戻し、

さらに強くすることで困難を乗り越えていけるような心の力を育てる方法として、

いまもっとも注目を集めている精神療法です。

 

具体的には、自身がどのタイミングで不安や心配を感じるのかを客観的に観察し、

自動思考という考えのクセを把握します。

そして、そういった状況に直面した際に、どのように考え、対処していけばいいかを考え、

考え方をコントロールしていく治療法です。

 

 

※参考文献:認知療法・認知行動療法マニュアルl日本認知療法学会

 

 

■弁証法的行動療法(DBT):弁証法的行動療法とは、

マーシャ・M・リネハンによって開発された、

境界性パーソナリティ障害に効果的といわれている、

行動療法を中心とした心理療法です。

 

以下の4つの治療法を組み合わせることで、考え方のクセに気付かせ、

バランスの良い考え方や反応ができるようにすることが目的です。

 

・苦悩耐性スキル....自身の感情の波が激しくなっているときに、

問題がさらに悪化しないように、

状況を改善するタイミングを待つためのスキルを身につけます。


・マインドフルネススキル....ありのままの自分を受け入れるスキルを身につけます。

・感情調整スキル....自身の感情を理解し、調節することのできるスキルを身につけます。

・対人関係スキル....感情調整を行いながら、適切な対人関係を築くスキルを身につけます。

 

しかし、欧米を中心に発達した治療法であり、

日本で受けられる場所はまだ限られています。

また、薬物療法と心理療法以外にも、

重度の境界性パーソナリティ障害と診断されたときに入院療法が適応される場合があります。

 

・薬物乱用、自殺、自傷行為を繰り返すとき

・重度の妄想により日常生活を送ることが難しいとき

・社会から離れた場所で本人に休息が必要と判断されたとき

・家族などの周囲の人が疲れてしまったとき

 

これらの場合は入院し、カウンセリングなど様々な治療法を組み合わせて治療していきます。

 

 

 

※参考文献:林直樹/監修『よくわかる境界性パーソナリティ障害』|(主婦の友社,2011) 

 

 

 

■ 薬物療法

境界性パーソナリティ障害に根本的に作用する薬は残念ながらありません。

そのため衝動性や感情の不安定さといった症状を改善するために薬が処方されます。

主に気分の落ち込み、不安、現実認識の低下に対する薬が処方されます。

 

 

BPDの薬物療法の第一選択は,

中等量の非定型抗精神薬であり,

抑うつ, 不安に対してはセロトニン選択性再取り込み阻害薬SSRIぐらいに

抑えるべきであるというのがガイドラインにおける薬物療法の基本である。

 

※牛島定信『境界性パーソナリティ障害の治療ガイドライン』(2010)

 

 

 

抗うつ薬は抑うつ症状を改善するほか、

衝動性や感情の不安定、激しい怒りの抑制のために処方されます。

薬には副作用もありますし、人によって薬が合わないこともあります。

低年齢の子どもの場合はより慎重に進めるべきという専門家もいます。

主治医の先生と信頼関係を築き、

よく相談した上で納得して治療を進めることをおすすめします。

 

 

 

【境界性パーソナリティ障害がある人への接し方】

 

 ■ 本人の治療のために協力体制をつくる

境界性パーソナリティ障害がある方は、

身近な人に見捨てられることへの不安を強く抱いています。

治療を行っていくにあたって、本人のなかでは葛藤や変化が訪れます。

また治療も長期にわたって行われるために、

効果がなかなか現れないことに対する苛立ちや不安感を抱くかもしれません。

 

そんなときに寄り添うことができるのは医師ではなく、

本人の家族や周囲の人たちです。その人たちが、

安全基地としての役割を担うことによって、

本人が治療に挑みやすい環境をつくることができます。

あなたの居場所はここにある、

いつもそばにいると安心させる協力的な姿勢と環境づくりが大切です。

 

■ 周りの人が本人に振り回されないように気をつける

境界性パーソナリティ障害がある方は、

感情や言動の変化が激しいために家族や周囲の人が振り回されてしまったり、

本人からの強い物言いによって責任を感じてしまったりすることがあります。

本人に対してどう接していいかわからず悩み、

周囲の人がうつ病などになってしまうケースもあります。

 

そのようにならないためには、本人に振り回されすぎないことが大切です。

拒絶せず、過保護にもせず、

程よい距離感をもって本人の言動を観察してみてください。

境界性パーソナリティ障害がある人を支えることは難しく、

共倒れしてしまう危険性がありますので、

本人に振り回されないように意識してみてください。

 

また本人の言動の一つひとつは、本人に責任がある姿勢を貫いてください。境

界性パーソナリティ障害の原因のうちの環境要因として家族の環境がありますが、

たとえこれまでの関わりに何らかの問題があったとしても、

その結果何を感じて、何を行うかは本人次第です。

 

家族や周囲の人が責任を感じすぎてしまうと、

本人は自分の問題の責任を家族に押しつけてしまい兼ねません。

そうではなく「それはあなたの問題です。」と一線を引いたり、

家族で抱えこまずに専門家に相談し支援を受けたりすることが重要です。

 

■ 本人と一緒に周囲も変わる

上記と矛盾してしまうかもしれませんが、

家族・周囲の人などとのかかわりの積み重ねによって、

本人が負担を感じていることがあります。

しかし具体的にどのようなかかわりが負担になっていたのかは、

関係性の当事者たちには分からないことがあります。

 

そのようなときには家族なども一緒に治療を受ける方が良い場合もあります。

治療を受ける程ではなくても、本人とのかかわり方や自分を見直すよい機会になります。

長年築いてきた関係を改善するには時間がかかります。

一気に問題を解決しようとは考えずに、

焦らず少しずつでも変わっていくことを意識してみてください。

しかし本人の回復に貢献するために、

家族や周囲の人自身が無理矢理変わらなければならないということではありません。

「できないことはできない」と言うことも、

現実的な一人の人として本人とかかわっていくためには大切なことです。

 

■ 相談する相手をもつ

本人にとって身近な家族などは、激しい感情をぶつけやすい人でもあります。

そのために本人に対して怒りや嫌悪感を感じ、

ときには拒絶してしまうこともあります。

しかし拒絶してしまっては本人にとっての安全基地であることも、

かかわり方をお互いに変えていくこともできず、

根本的な治療を行うことはできなくなります。

 

定期的に他の人に相談して助言をもらうことは重要です。

周囲に安心して相談できる相手がいない場合は、

心理カウンセラーなど専門家のサポートを求めることも考えましょう。

 

 

 【まとめ】

境界性パーソナリティ障害の症状は多岐にわたって存在し、

本人をはじめ周囲の人たちも悩まされます。

しかし決して個人の性格の問題ではありません。

本人が過去の体験を自分の糧となるように消化できていなかったり、

現在またこれまでの環境が合わなかったりといったことが積み重なっています。

その積み重なっている経験が考え方をつくり、そこから言動が生まれています。

 

これらは適切な治療を受けることによって、

少しずつではありますが変えていくことができます。

境界性パーソナリティ障害がある人を支えることは大変なことだと思います。

本人も自身の言動や思考をコントロールできず苦しんでいます。

本人や家族だけで解決しようとするのではなく、

専門家の支援も受けながら、お互いに適切な距離を取りつつ、

また一方で支え合いながら付き合っていくことが大切です。

 

 

 ※参考文献:林直樹/監修『よくわかる境界性パーソナリティ障害』|(主婦の友社,2011)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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