心理学: 2018年6月アーカイブ

特性論

|

特性論 概要

 

私たちの行動を観察すると、中にはその場限りの行動もあるが、


種々の状況において一貫して現れる行動もある。

種々の状況を通じて一貫して現れる一定の行動傾向を特性(trait)という。


特性論は、特性を人格の構成単位とみなし、


いくつかの特性の組み合わせによって人格を記述し理解しようとする方法で、

主としてイギリスやアメリカで発達した理論である。

 

特性論は類型論より歴史も浅く、


そのほとんどが20世紀になって誕生したものである。

 


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 


 【オールポートの特性論】

アメリカの心理学者であるオールポートは、

性格特性は精神・身体的概念であり、

その特性は「個人の内にある」と主張。

 

オールポートは、辞典(ウェブスター)の中から、

「親切な」「社交的」などの、性格特性に関することばを数多く選び出し、

形容詞的な用語を、実際的な特性を表現する語群(Ⅰ群)、

一時的な状態(態度)を表現する語群(Ⅱ群)、

評価(価値判断)を表現する語群(Ⅲ群)、

その他(Ⅳ群)の4群に分け、第Ⅰ群を中心に特性の分析を行った。

 

オールポートは、多くの人々に共通する共通特性と、

ある個人に特徴的な独自の特性を区別し、

さらに共通特性を表出的特性と態度的特性に分類している。 ま

た、特性の基礎をなす心理・生理的要因(身体、知能、気質)を加え、

個人の性格を表示する心誌(psychograph)を作成している。

 

※ゴードン・オールポート(Gordon Willard Allport, 1897- 1967)
アメリカ合衆国の心理学者。

 

 

オールポート (Allport, G. W.)


成熟した人格の基準として


1. 自我の拡張
2. 他人に対する暖かい関係
3. 情緒の安定
4. 現実認知と技能
5. 自己客観化
6. 人生観の確立


の6つをあげ、人間として達成すべき努力目標とした。

 

人間関係と健康なパーソナリティ(個性)


 「パー ソナリティとは、

人間に特徴的な行動と考えとを決定する精神身体的体系の力動的組織」とする

ゴードン・オールポート(アメリカの心理学者)の定義である。

さらに「性格、気質、興味、態度、価値観などを含む、

個人の統合体である」。ゴードン・オールポートは

健康なパーソナリティの規準として、次の6つを 挙げている。

 

1)  自己意識の拡大。自己自身だけに集中的に向けられていた関心が、
家族・異性・趣味・政治・宗教・仕事へと広がり、これにどれだけ積極的に参加し、
自己をどれだけ拡大してゆくか。
他人の幸福を自分の幸福と同一視できるほど重要視し、拡大視できるか。

2) 他人との暖かい人間関係の確立。家族や友人に対して、
どれほど深い愛情を伴う親密さと、全ての人の人間的状態に敬意を払い理解するという、
共感性を持つことができるか。

3) 情緒的安定。欲求不満の状況でもそれを受容するとともに、
これをどれほど適切冷静に処理し、安定した精神状態を保つことができるか。

4) 現実的知覚、技能および課題。
歪曲されない正確な現実認識と、真実性への認知の構えをどれほどもっているか。
基本的知的能力だけでは不十分で、むしろ高い知的能力をもちながら、
情緒的均衡を欠くために、健康なパーソナリティとなれない人も多数存在する。

5) 自己客観化、洞察とユーモア。自分自身とは何か、
自分自身が持っているものは何か、
他人は自分が何を持っていると思っているのか、といったことを
客観的に知り、洞察しているか。
この洞察とユーモア感覚は強く関連している。

6) 人生を統一する人生哲学。
人生をいかに生きてゆくか、という目標への指向性をどれほど明確にもっているか。
人生に統一を与えてくれる哲学、すなわち価値への指向をどれだけもっているか。


 


【著書】

『人格の形成―人格心理学のための基礎的考察』
『個人とその宗教』

 他

 

 

 


 

【ギルフォードの特性論】

アメリカの心理学者であるギルフォードは、

共同研究者マーチン(H.G.Martin)とともに因子分析的手法により、

「STDCR因子目録」「GAMIN因子目録」および

「ギルフォード=マーチン人事人格目録」の3種の性格目録(personality inventory)を作成している。

この3つの検査において、性格特性として次の13因子が測定される。

因子分解によって13の特性を抽象

 

抑うつ性 

回帰性傾向 

劣等感 

神経質 

客観性の欠如 

協調性の欠如 

愛想の悪さ 

一般的活動性 

のんきさ 

思考的外向性 

支配性 

社会的外向性 

男性(女性)度

 

★・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・★

 

S因子:社会的外向―内向

T因子:思考的外向―内向

D因子:抑うつ性

C因子:回帰性傾向

R因子:のんきさ

G因子:一般的活動性

A因子:社会的場面における支配性

M因子:社会的場面における支配性

I因子:劣等感

N因子:神経質

O因子:客観性

Ag因子:愛想のよさ

Co因子:協調性

 

このギルフォードの人格目録は、

日本でも矢田部らにより標準化され、

おのおの12項目からなる13尺度が作成されている。

 一方、辻岡は、矢田部が標準化した性格検査を

各10項目からなる12の尺度にあらため標準化し、

「矢田部=ギルフォード性格検査」を作成している。

 


※ジョイ・ギルフォード(1897 - 1987)
アメリカ合衆国の心理学者。

因子分析法を用いて知能の研究を行う。
人間の知能は内容4種類、操作5種類、
所産6種類の計120種類からなるという説を唱えた。

 

 

 


【アイゼンクの特性論】

イギリスのアイゼンクは、性格研究に実験的方法を導入し、

因子分析法による性格特性の分析を行っている。

アイゼンクの理論は、類型論と統計学的手法との組み合わせによる特性論である。

 従来の因子分析はよって抽出された因子は、

それがどのような意味を持っているかが不明な場合も少なくなかった。

 

そこで、アイゼンクは、従来の因子分析の手法とは多少異なる

クライテリオン分析という方法を通じ、性格の基本的次元を決定しようと試みている。

この分析は、抽出しようとする因子が前もって決められているが、

この因子は、外向性―内向性というように両極性を持ったものであり、

実験的検討に際しては、被験者もこの両極の2群が対象とされる。

 

アイゼンクの特性の理論の特徴は、

ほかの特性論と異なり、特性のレベルよりも

さらに抽象化された類型(type)の次元を設定していることである。

 

そして、アイゼンクによれば、

性格の構造は、類型―特性―習慣的反応―個別(特定)反応の4つの階層構造をなしてるという。

神経症傾向と精神異常の区別に始まったアイゼンクの研究は、

その後、健常者及び神経症患者への研究へと発展し、

その中からふたつの基本的因子が抽出されている。 こ

の2つの因子が、内向性―外向性の因子、そして神経症的傾向の因子であり、

わが国で今日使用されているMPI(Maudsley Personality Inventory)の基礎となっている。

 

さらにアイゼンクは、種々の生理心理学的実験から得られた資料をもとに、

このような内向性―外向性及び神経症的傾向の背景には、

脳幹網様体及び大脳辺縁系の活動の個体差、

すなわち、生物学的基礎の差異が関連していると主張している。

 


※ハンス・アイゼンク(1916年3月4日 - 1997年9月4日)
ドイツの心理学者。ドイツ・ベルリン生まれ。

不適切な学習によって神経症が引き起こされると考えた。
行動療法によって治療しようと試みた。
パーソナリティ研究の分野で活躍した。
1975年にアイゼンク性格検査を考案した。
精神分析の実証性について痛烈な批判を行ったことで知られる。

 

 


著書

『心理学の効用と限界』
『人格の構造 その生物学的基礎』
『心理療法の効果』
『知能の構造と測定』

 他

 

 

 

 

 


【参考文献】

加藤義明 中里至正編著 1989 『入門人格心理学』 八千代出版

 

 

 

 

このアーカイブについて

このページには、

2018年6月

以降に書かれたブログ記事のうち

心理学

カテゴリに属しているものが含まれています。

前のアーカイブは心理学: 2018年5月です。

次のアーカイブは心理学: 2018年7月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。